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 ぴったりと繋がった俺たちに、変化が起こる。 「――あっ! あぁ、んっ! ゃ、やめ――ひっ、ぁあ……っ!」  高遠原が、動き始めたのだ。  ズルズルと引き抜かれたかと思いきや。  まるで元の場所に戻るかのように、ズッ、と……奥まで突き挿れられる。  さっきまでの告白もどきや、優しさは……何だったのか。 「んっ、んぁ、っ! い、いきなり、やだ、っ! はげ、しくっ、するなぁ……っ!」  シーツを握り締めて、俺は首を何度も何度も横に振る。  それでも、高遠原は抜き差しを繰り返す。  まるで……女を抱くかのような、普通のセックスに似た動き。 「は、ぁあ、っ! あぅ、んっ!」  いやでいやで、堪らない。  なの、に。 「んっ、んん……っ! あっ、ぁ、やめ……っ、んくぅっ!」  俺の体の順応が早いのか、高遠原が謎のテクニックを持っているのか。  屈辱的な性交はすぐに……【屈辱】から【快感】へ。 「はっ、激しく、するの……っ! やっ、やめて、くれ……っ! あっ、ぁあ、っ!」  突かれるたびに、内側が悦び始める。  高遠原が起こす最悪な行為が快楽として、俺の脳に甘い痺れを伝えた。 「ゃ、だ……っ! いっ、あ、んっ!」  縋るように、シーツを握り締める。  そうしていると、背後で高遠原の笑った声が聞こえた。 「ハハッ! プルプル震えて、小動物みたいだなァ?」  男同士……しかも、相手はあの高遠原だ。  背後でバカにされて、嘲り笑われている。  なのに喉からは、勝手に甘い声が漏れ続けた。 「やだ、ぃやだ……っ! 奥、もう、突くなぁ……っ!」 「すげェ……ッ。真冬、メチャクチャ気持ちいい……ッ」 「ふぁ、あぁっ! ゃめっ、抜いて……っ! やっ、んっ!」  俺を犯しながら、憎い男が笑っている。  ――ムカつく。  ――ムカつく、ふざけるな、大嫌いだ……っ! (なのに、何で……っ)  ――悔しいくらいに、気持ちいいんだ……っ? 「やだっ、やら……っ! もっ、やらぁっ!」  呂律が、上手く回らない。  体だけじゃなくて、頭の中もかき回されているみたいだ。  そのせいで、考えることすらままならない。 「感じてるくせに、なにがイヤなんだっつの」  笑いながら、高遠原が腰を引く。  そのまま全て引き抜かれそうな動きに、俺は慌ててシーツを強く握り直した。 「ちがっ、ちがうっ! 俺は感じてなんか――ふあっ、んんっ!」  ――なにが、違うのだろう。  腰を引かれたら戸惑って。  奥まで突かれたら、体を歓喜で震わせているくせに。  それのどこをどう見たら『感じていない』だなんて信じてもらえる? 「真冬……お前、超エロい」 「んっ、んっ! み、耳……舐め、るなぁ……っ!」  可笑しそうに言葉を弾ませて、高遠原が俺の耳を噛んだ。  今、俺がセックスをしている相手は、高遠原だ。  なのに……堪えきれず。  自分で自分のを扱き始めた俺に、なにが言えるんだろう……?

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