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 舌が、ペニスを這う感覚。  こんなの……俺は、知らない。 「んんっ、やっ、やだ……っ。舌、動かす――ん、っ!」  裏筋を、高遠原の舌がなぞった。  根元から、先端。そうされると、腰の辺りにゾワゾワとした感覚が流れる。  俺は咄嗟にシーツを握り締めて、高遠原からのフェラに耐えた。 「さっ、先っぽ、やだ……っ! あっ! やだ、やだってば……んっ!」  いやだと主張したら、高遠原はそこを執拗に攻める。  身をよじったところで、意味はない。 「ぁあ、あっ!」  高遠原は着実に、俺が感じるポイントを探っている。  好いところに舌が当たると、腰が跳ねた。  唾液の音が聞こえると、耳を塞ぎたくなる。  だけど逃げようとしたら、気持ち良くされて。 (こ、んなの……っ)  頭も、体も、変になる。  大嫌いな男にこんなことをされて、いやでいやで堪らないはずなのに。 「たっ、高遠原ぁ……っ!」  口の中に出したくて、仕方ない。  ――射精したい。  ――早く、解放してほしい。  高遠原にペニスを喉奥まで咥え込まれると、目の前に星が散りそうだった。 「あっ、ぁあ、っ! も、もぉ、だめだ……んぁ、っ! で、出ちゃう、からぁ、っ!」  体が硬直してしまいそうで、必死に首を横へ振る。  だけど、高遠原は止まってくれない。  一際深いところまで、ペニスを咥えられて。 「ひっ、ぁああっ!」  我慢なんて、できっこなかった。  情けない声をあげて、俺は高遠原の口に精液を吐き出す。 「……ッ」  一瞬だけ、高遠原が驚いたように声を漏らした気がする。  そうとは気付いても、射精は止められない。 「ぅ、うぁ……ん、くっ!」  出している最中なのに、高遠原は俺のペニスを吸った。  それが気持ちよくて、俺はしっかりと射精しきる。 「はっ、ぁ……っ」  絶頂後特有の、脱力感。それと同じくらいの満足感に、吐息を漏らす。  射精を終えた俺は、ベッドにぐったりと横たわる。 (凄く……気持ち、よかった……っ)  高遠原が悦んだのも、納得かもしれない。  ……ん? 高遠原が……?  ぼんやりとした頭が、急に覚醒する。 「お、お前……っ! い、今のは、違うからなっ!」  俺のペニスから口を離した高遠原に、慌てて言葉で噛みつく。  そうだ、そうだった。相手は高遠原だ。  更なる弱みを握られてしまった俺は、俺の精液を飲み込んだであろう高遠原を睨みつける。  だが、そんなのどこ吹く風。 「腰浮かせてたクセに、よく言うぜ」  高遠原は相変わらず、強気だ。  口元を指で拭って、高遠原は勝気に笑う。  悔しいことに、そんな顔すらも端整だ。 (く、屈辱だ……っ!)  結局、その日はそれ以上なにもされなかったけれど。  これで俺たちの関係が終わることは……なかった。

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