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 ――何で、ロープなんて取り出したんだろう。  物騒なものを取り出された俺は、更に戸惑った。  だが、ロープの使い道なんて【縛る】だけ。  あろうことか、笑みを浮かべた先輩は。 「な、何で……っ! やめてくださいっ!」  ――ロープを、俺の手首に縛りつけてきた。  俺は慌てて抵抗して、身をよじる。  だけど、リーダー的先輩がそれを見逃さない。 「黙ってろッ!」  ガンッ、と。  一発、顔を殴られた。  誰かに力一杯顔を殴られた経験なんて、なかったけど。 (痛い……っ)  頭が、クラッとする。  その一瞬の間に、両手首を完全にロープで固定された。  身動きのできない状態に追い込まれた俺は、先輩たちを見上げる。  すると、無表情な先輩が突然……俺のネクタイを、ほどいた。 「や、やめ……っ!」  そのままワイシャツのボタンも外された俺は、制服を力任せにはだけさせられる。  俺の上半身は、三人の先輩に晒された。 「ふぅん? キスマークとかはないんだな?」 「ここには、ですけどね?」 「あ~……あそこか~」  人の体をジロジロ見ながら、勝手に話が進められている。  手を動かすが、ロープはほどけない。 「なにがしたいのか分かりませんが、やめてください……っ!」  そんな台詞を吐いて、止まる人なんてたぶんいないだろう。  当然、先輩たちは止まらない。  むしろ、エスカレートしていく。 「うわっ!」  ――いきなり、ズボンと下着を一気に下ろしてきたのだ。  そして、先輩たちの探しているものが……見つかったらしい。 「うわっ! 本当にあるぞ、キスマーク!」 「いやらしいですね……」 「ん~」  それは前回、高遠原に抱かれたとき。  その日の高遠原はやけに、俺の体にキスマークをを付けたがったのだ。  初めは首筋を狙われたのだが『見えるところに付けたらそこを引っ掻きまくる!』と吠えてみた。  すると、まるで『折衷案だ』とでも言いたげに、内腿を選んだのだ。 「……っ」  まさかそんなところ、人に見られるなんて思わないだろう?  俺は一気に、顔を赤くした。 「まぁ、俺たちの目的はこんなモンを探すことじゃねぇよ」 「そういえば、明日は金曜日ですね」 「あ~、やっちゃおっか~?」  勝手に人の体を眺めてきた三人は、ブツブツと思い思いのことを呟いている。  するといきなり。 「や、やめてくださいっ!」  俺の体に顔を寄せてきた。  首に、二の腕に、胸に、内腿に。  先輩たちは唇を寄せて、ただただ……見せつけるように、キスマークをつけ始める。  ――寒気がする。  ――体が、冷えていく。 「さて、と。このくらいでいいだろ」  リーダー的先輩がそう言うと、残りの二人も俺から離れる。 「諸星くん、だったっけ。……高遠原に見られたら、こう言っとけ」  無表情の男が俺のロープをほどく中、リーダー的先輩が囁いた。 「――これは、お前がしたことの報いだ……ってな」

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