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最終話 : 2

 それから、俺たちの生活がどうなったのか。  まず、徹との関係。 「なぁ、真冬~。……もしかしなくても、俺って邪魔?」  つるまないと言っていたはずの美鶴が、俺たちの登校に当然の顔をして合流し。  しかも、俺と徹の距離が近いと舌打ちをして。  徹は困ったような声を出していたけど、笑顔だった。  今日の昼休みくらいに、徹には全部話そうと思う。  子供の頃のことと、今の関係を。  ……美鶴に脅されてセックスをしたとかは、言わないぞ。さすがにな。  そして、詩織との関係。 「真冬くん。美鶴がウザい」  なにがあったのかは教えてもらえなかったけど、詩織はそう言いながらスマホを睨んでいた。  美鶴とメッセージのやり取りでもしているのだろうか。メッセージが届いたことを知らせる通知の音が鳴る度に、詩織は怖い顔をしていた。 「お邪魔虫同士、仲良くしようぜ、詩織~っ」 「アンタもウザい!」  徹が詩織に抱きつこうとして、華麗にスルーされていたりもしたけれど。  ……もしかして徹は、詩織が好きなのか? その辺りは今度、こっそり訊いてみようと思う。  あまり重要じゃないかもしれないけど、取り巻きの女子たちとの関係。 「美鶴くん、今日もカッコいい~っ」 「ねぇ、ねぇっ。今日の放課後、私たち雑貨屋さんに行くんだけど……美鶴も一緒に来ない?」  実は、そこだけあまり変わっていなかったりする。  なぜなら……俺は変わらず、学校では美鶴と関わらない。  だけど美鶴も変わらず、女子に話しかけられたら返事をする。それで、囲まれても今までと同じ。 「相変わらず美鶴は女子にモテモテだな~?」  たまたま女子に囲まれている美鶴を見かけた徹は、俺にそう言ってきた。  徹としては、俺にヤキモチでも妬かせたいんだろうけど。 「そうだな。たぶん、雑貨屋……行くと思うし」 「恋人としてはそれでいいんですかーっ?」 「まだ恋人じゃない! ……別に、気にもしてないし」  美鶴たちの前を通り過ぎて、俺はポツリと続けた。 「たぶん……俺にお土産買ってくると思うし」  そのとき、徹がどれだけげんなりした顔をしていたか……他の人にも見せてやりたかったな。  そして、一番重要な。  先輩たちとの、関係。 「高遠原ッ! 新しくできたカフェに興味はねェかッ?」  リーダー的先輩と。 「高遠原さん。今なら開店を記念するスペシャルクーポンがありますよ」  頭の良さそうな先輩に。 「しかも~……期間限定のメニューまであるらしいよ~?」  語尾が伸びている先輩が。  やたらと、美鶴に話しかけるようになった。  俺はてっきり……今度は本格的に美鶴を傷つけるのかと、思っていたんだけど。 (真正面からこないのは『ごめんなさい』って言ってたの……真正面からいけばオッケーしてもらえるって解釈したのか……?)  俺が思ってた以上に、この先輩たちは美鶴のことが好きだったらしい。  ちなみに、当の美鶴本人はと言うと。 「ンでテメェらに時間割かなくちゃならねェんだよ。勝手に行ってろ」  この塩対応である。  さすがに激怒するかとヒヤヒヤしたけど。 「「「……くっ!」」」  ――三人とも、美鶴から返事をもらえるだけで喜ぶんだもんなぁ。  想像を絶する真っ直ぐさだった。美鶴にも言えるけど、恋は人を愚かにするらしい。  そして、美鶴との関係は……。

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