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「俺、男ばっかの3人兄弟で、落ち着きないし、頼りないってよく言われるんですよね。見た目ばっか成長して、中身ほんとガキのまんまっていうか。だから、鷗さんみたいなクールな人、憧れます」 「そんな、こ、と」 「そうゆう、多くを語んないってのが。俺めっちゃお喋りでしょ?すいません。喋ってないと不安っていうか、早くみんなと仲良くなりたいっていうか」  そう言うと、もじもじと目を逸らす俺の顔を覗き込み、那緒はデカい子犬のように唇を尖らせた。  その途端、突然のイケメンのドアップに緊張を通り越して、恐怖を覚える情けない俺。  やめろよ、と拒否するでもなく、冗談交じりに笑えるわけでもない。ただただ、硬直。 「うーん、やっぱ鷗さんクールっす。あれだ、目かな?キリっとしてて、かっこいいの。三白眼気味ですよね?奥二重?顔とか肩とか小ちゃいのに、普通に男だし。落ち着きがかっこ良さを引き出すのか?」  ぶつぶつと俺を分析する那緒を前に、足りない脳みそを回転させ、どういう行動が彼にとって正解なのか を必死で考える。    これは、落ち着いているわけじゃないんだ。  固まってるだけ。  キャパシティオーバーで、対処し切れないだけ。  表情筋が弱いから、顔に出ないだけ。  言い訳したいことは山ほどあるのに、うまく声にならない。  太い他人の指が頬に触れ、首筋を撫で肩を通る。  次第にそれは腰へ滑り落ち、尻をかすめ、俺の体は思わずひくんと跳ねた。 「うわ、すいません!俺昔っから距離感おかしいって言われてて、夢中になるとわかんなくなるんで。無意識にめっちゃ触ってた。すいません」  やば、気をつけよう、と独り言を呟く那緒。  大きな手が体から離れていく。  心臓が、今更ながら早鐘を打った。

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