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「……いや、俺こそすいません。出しゃばって。琥珀もごめんな。偉そうなこと言える立場じゃないのに」
恥ずかしそうに頭を掻く那緒。
「なに熱くなってんだって感じですよね。ペーペーの俺が。めっちゃ辛気臭くなっちゃいましたけど、俺自身はみなさんとお話しするの、好きですから」
「あ、うん。俺の話でなんか、ごめんな」
あれだけ真剣に俺を庇ってくれてたってのに、那緒に気の利いたことも言ってやれない。
「え、なんで鷗さんが謝っちゃうんですか!俺めっちゃガキみたいじゃないですかあ」
「バカね。そうゆう可愛いわんこちゃんみたいな那緒ちゃんがいいのよお」
珊瑚の手が、那緒の肩を抱いた。
よしよし、と頭をくしゃくしゃに撫でている。
日頃からスキンシップの多い珊瑚の、ごく当たり前の仕草が今日はやけにもやもやする。
俺が、そうしたい。
ふと、脳裏に浮かんだその言葉を掻き消すように首を振った。
俺みたいなダメ人間が、お日様みたにキラキラする那緒とどうにかなりたいなんてバカげてる。
「てか俺、鷗さんのこと興味あんのは本心ですから」
そんな風に言われると、心臓がおかしくなる。
こんな俺でもいいのかな、と勘違いしてしまう。
「大して、面白みないよ」
那緒の望むクールな俺。
少しはうまく演じられているだろうか。
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