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第4話※

 俺が生まれたとき、母は16、父は18。  典型的なヤンキー夫婦で、字面がイカしてるからと、鷗と名付けられた。  物心ついた頃には日常的に暴力を振るわれ、一人ぼっちで過ごすことが多かった。 「これが、反省のポーズだ」  父に言われ、裸でベランダに立つ。  母は笑って携帯のカメラをこちらに向けた。 「おまえは頭が悪いから仕方ないよ」  母の口癖だったと思う。  学校は嫌いじゃなかったが、登校できない日が多かった。  特に暴力が酷かった次の日はお休み。  怪我が見つかったら、あまり良いことにならない。  子どもながらになんとなくわかってた。    俺は家じゃ大抵裸で、小学校も高学年になると、なんだかそれが一番恥ずかしかった。 「こんなヤツの裸でも、いくらかで写メ買ってくれるらしいんだって。おまえちんちん見せてなんかしてみろよ。売れたらお菓子買ってやるからさ」  常に空腹だった俺には、お菓子も充分魅力的だったが、何よりそうすると母が喜んでくれた。  恥ずかしかったが、ちんちんもお尻の穴も、言われるがままに見せた。  穴に、きゅうりを入れたこともあった。  「おまんこきもちいい」って言いなさいと、言われた通りに何度も繰り返した。  ちんちんの皮を剥いて、カラシを塗る。  強烈な痛みに悶絶する俺に、母は「ちんぽ隠してんじゃねえよ」と蹴りを入れた。  何年も何年もやってたからわからなかった。  それが犯罪だって、知らなかったんだ。  中学に上がってすぐ、両親が逮捕。  児童養護施設『よろこびの里』。  そこが俺の新しい家になった。

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