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「新しい家族の、麻生 鷗くんです。よろこびの里っ子のみなさん。これから仲良くしましょうね」
室内で、生まれて初めて服を着た。
同年代の友達が、家族として扱われる施設。
初めましての挨拶で、俺は50人の家族ができた。
「鷗、家族の印ごっこしよ」
当時、同室のメンバー内で流行っていた儀式。
生贄を家族の証として裸で寝かせて、全員で永遠の家族を誓い合う。
生贄役はいつも、新参者の俺だった。
一番家族から遠い存在だから、一番たくさん生贄になる必要があるらしい。
バカな俺はそれを信じ、自ら進んで服を脱いだ。
「鷗の体って変だよな。14なのに、ちん毛ないし」
「え、俺、変なの?」
「変だよ。凄く変。シュジュツしなきゃ」
敷かれた布団に四肢を広げて抑えられ、ちんちんを観察される。
部屋のリーダーは高校生で、その手のことをよく知っているらしく、いつも俺たちの先生だった。
「鷗は洗礼を受けていないから、一人だけ体が変なんだよ。痛くても、痛がっちゃいけないし、これは大人に話しちゃいけない。子どもだけの秘密だ」
ライターに火が灯る。
ニヤニヤと俺を取り囲む顔、顔、顔。
「うぎゃああああッ」
先端を軽く炙られただけで涙が出た。
「修行が足りないからだ。このままじゃ、おまえはずっと誰の家族にもなれないんだ、いいのか?」
世間知らずで頭の悪い俺は、すがりつくようにもう一度、もう一度とチャンスを懇願する。
その内、ある程度の痛みなら我慢できるようになった。
ちんちんがバカになって、お漏らしする日もあったけど、裸の俺を高校生の大きな体が包んでくれた。
眠るまで、優しく抱きしめ、背中を撫でてくれた。
俺は、家族を知った。
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