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 施設が俺の引き取り先を慌てて探したのは、うっかりボランティアのお兄さんに儀式の話をしてしまったからに違いない。  ボランティアのお兄さんは、高校生とあまり見た目の違いがなく、大人なのか、自分たちの家族なのか区別できなかった。  優しくて、明るくて、元気で、家族だったらいいなって思ったから。  つい、喋った。  同室のメンバーは解体され、家族はバラバラになり、俺は裏切り者として、祖父母の元へ送られた。  親の反対を押し切って結婚した両親の、息子。  孫というより、躾の必要な動物の扱いだった。  父方の祖父は厳しかった。  頭が悪くても高校は行け、とぶたれながらの勉強。  父と同じく、俺を裸にした。  再三儀式を受けたのに、下の毛は生えて来ない。 「出来損ないの未熟者だからだ、バカ野郎」    祖父は俺をバカ野郎と呼んだ。 「こんな簡単な問題もわかんねえのかバカ野郎」 「根性なしめ、このバカ野郎」  長い定規で、体をよくぶたれた。  そこに現れたのが、父の弟、叔父の麻生和志(かずし)。  開業医で美人な妻と可愛い一人娘を持ち、父を紙に描いて裏返したような人間だった。 「赤ん坊の頃に会ったっきりだから、覚えてないだろうね。あれから随分と大きくなったもんだ」  和志の手は、俺の頭をすっぽりと包むように大きく、暖かかった。 「勉強は僕が見てあげよう」  15歳の俺は、彼が本当の父親かも知れない、と心のどこかで考えていた。

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