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 叔父さんの社会常識のは、いつも真夜中で誰にも気付かれないようひっそりこっそりだった。  それは高校に進学してもなお続く。  入学式は袴でお祭り騒ぎが伝統行事。  工業系の中でも群を抜いて偏差値も程度も低かった、西工業男子校にギリギリ合格した俺は、その中でも成績は常にビリケツ争いで、祖父からは心底呆れられたのを覚えている。  暗くて陰気なトカゲみたいな俺を、唯一仲間に入れてくれたのが珊瑚のグループだった。  ウチの学校に不良じゃないグループなんてない。  みんなどこかしら社会常識ってのがぶっとんでいて、クズの集まりだった。 「鷗なんて変な名前付けられて、アンタ恥ずかしくないの?」  珊瑚にそう言われ、初めて自分の名前が変なんだと知った。  ただ、そう言う珊瑚も大概な名前で、特段気にすることもなかった。  あの頃の珊瑚は、今よりずっと気の良い兄貴分ってとこで、節々におかま臭を醸してはいたものの、俺は嫌いじゃなかった。 「金髪にしなよ。可愛いから」  珊瑚に促され、生まれて初めてのブリーチ。  ちん毛が生えないと相談して、「清潔感があっていいじゃない」と返されたのも生まれて初めてだった。  ピアス、お酒、タバコ。  全部珊瑚に教わったけど、女の扱いは教えてくれなかった。  遅ればせながらの思春期。  自ら性器に触れ、勃起し、夢精を経験する。  好きな子が、できた。  自分より背の高い、優しそうな女の子だった。  珊瑚とよく行ったファミレスのバイト。  おっぱいが大きくて、触ってみたいと思ったことがきっかけだった。  俺は迷わず、珊瑚に言った。  俺はその場で、珊瑚たちにレイプされた。  

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