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「琥珀だって、イマドキの大学生だろ」
「は?バカにしてます?僕のと那緒のとじゃ、雲泥のキャンパスライフですよ」
琥珀は俺を一瞥すると、またスマホに夢中になった。
「あれ、なんか、二人が同じ空間にいるの久々に見た気がしますよ。仲直りしたんですか?」
ロッカールームから姿を現した那緒を前に、琥珀の顔が一瞬にして輝く。
スマホは即ポケットにしまわれ、しっぽの生えた犬のように那緒のもとへと駆け寄った。
自分にも、あれくらい行動力があれば。
そこまで考えたあと、琥珀と自分とを置き換えたイメージ像にぞっとする。
28歳。ツリメの三白眼が、ぼさぼさのプリン頭を振り乱し走り寄る姿。
吐き気を催す。
「鷗さんに、昨日のこと話してたんだー」
琥珀が那緒の袖を引いた。
「あ!今度鷗さんも行きましょうよ、メシ。鷗さんが何好きとか、俺あんま知りませんし、勝手なイメージ、オシャレなおつまみでお酒飲んでそうですけど」
「あはは、イメージ先行、那緒の悪い癖じゃん。ブッブー不正解。鷗さんほぼ食べないんだよ。昔いたスタッフからは霞食って生きてるって言われてたし」
俺が答えるより早く、琥珀が口を開く。
多くを語らない俺が那緒の理想なのだから、まあ、結果として良いんだろうけど。
なんだか釈然としない。
「ダメだよ那緒、無理強いしちゃ。鷗さんは、ごはんとか行かないタイプなんだか」
「でも、何かしらは食ってんでしょ?鷗さんは、好きな食べ物とかないんですか?俺、結構張り切って探しちゃいますよ」
琥珀の言葉を遮るよう、那緒が言った。
彼は俺が何か言いたそうにすると、そうやってきちんと待ってくれる。
こんな人、初めてだった。
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