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「鷗さん!」  頬を両手で挟まれ、強制的に顔を上げられる。  那緒の目は真剣で、窓の向こうの夜景よりキラキラと輝いていた。 「バカ鷗!俺を、今までの男と同じにすんじゃねーよ!あんた、俺と一緒に幸せになるんだろ?なんであんたの方が幸せから遠のこうとしてんだバカッ」  ガチガチと音を立てていた歯列が治る。  那緒の綺麗な目の中に、俺の顔が揺れて映った。 「確かに俺じゃ頼んないだろうけど、男とだってそんなよく知らないし…、お、女の子との経験も自慢するほどあるわけじゃないけど、さあッ」  那緒の表情が、少年のそれっぽさに変わる。  唇を尖らせて、視線もどこか所在なさげで、それでも俺の頬をずっとしっとりと包んでいた。 「わ、わかんないことばっかだよ!俺だっていっぱいいっぱいなんだって。鷗さん、俺のこと置いてけぼりにするし、くっそ、俺も、もうちょっとこう経験値豊富なイケてる男だったら…」 「ふ、ふ、ふはははははッ」  しゅん、と肩を落とす那緒を前に思わず声が出た。  那緒はハッと顔を上げ、さらに唇を突き出す。 「いや、え!ここで笑います?てか、笑った顔初めて見ましたよ。このタイミングで!」 「あははははッ」 「めっちゃツボってんじゃないですかあ!くそー、オトナの余裕見せつけられてる。くそ、しかもなにその顔。………めっちゃかわいーじゃん」  那緒は俺にキスをして、笑いながら、二人一緒に湿った布団へ倒れ込んだ。  胸元に、那緒の手が滑り落ちる。  合理的じゃないと思っていた拙い愛撫に、おかしいくらい体が反応する。  散々いじめ抜かれた乳首に、那緒が吸い付いた。  舌先で先端を転がされ、俺の性器が簡単に頭をもたげ始める。  優しいのは、ダメだ。  体が言うことを聞かなくなる。  肋骨の一本一本を舌で確かめるよう、那緒が俺に丁寧に触れた。  大事にされてることを、肌で感じられた。

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