31 / 50

03

 向かい合って、抱きしめ合って、俺は体内に那緒を受け入れる。  獣のようなセックスじゃない。  腹の奥がびくびくと喜ぶような、心が満たされていく感じ。 「ん、んうッ、あ、な、那緒ッ」  那緒が動くたびに、きゅんとそれにしがみつく。  優しくされると、体がおかしい。 「だ、ダメ、那緒、な、なおッ、い、イく、も、出ちゃうよ、あッ、あ、あ、んあああッ」  俺は早急に精を吐き出した。  優しいセックスなんて、初めてだった。  那緒は、優しい。  優しい、から…。  優しい? 「那緒、ら、らめ、イッた、から、も、まだ、う、くうんッ!んうううッ、ああ、んあッ、はぐッ」 「ごめ、鷗さ、ん。ちょ、止まんない、まだ」  犬っころみたいな顔しておいて、まさかのスーパーウルトラ遅漏星人。  絶頂を迎えたばかりの性器を扱かれ、俺は体をのけ反らせて悶絶する。 「ふああッ、あひいッ、らめ、ばか、ダメッ」  何が経験不足だ。  奥をごりごり擦られて、息が止まりそうになる。  入口きわきわまで抜かれた性器が、ひと突きで腹を押し上げる。  握り込まれた俺のものは、ぐちゅぐちゅと自身の精液に絡められながら刺激される。  触られれば、勃つ。  だって、相手が那緒だから。 「れも、れも、もう、ひんどいいッ」 「すいま、せん、もう、もうちょいッ」  悲鳴のような嬌声で、またイかされる。  とくとくと溢れ出る精液は、止まることを知らない那緒の手の中で音を立てていた。 「あふ、あ、あふ、あああ、あ、う、んあああッ」 「鷗さ、ん。かわいい。すごい、かわいい」  狙ったように一番奥で吐き出される体精。  どくどくと波打つ那緒の性器が、俺の中で果てる。  ほっとした矢先、ゆるゆると少し腰を動かしただけで、俺の中の那緒が元気を取り戻した。 「な、な、なななな、那緒ッ!」  律儀な彼は、俺への愛撫も忘れない。  もう限界だって訴えても、那緒はすいません、と繰り返して俺の性器をいじった。

ともだちにシェアしよう!