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 裸を強要されることには慣れていたし、失うものもほとんどない。  俺はエプロンを脱ぎ、ベルトのバックルを外す。  スラックスのチャックを下ろし、寄れたボクサーパンツから萎えた性器を取り出した。 「琥珀はこれしてなんかいいことあるのか?」 「それなりに。小遣い稼ぎになります」    なるほど。  自分で言うのもあれだが、確かに下半身だけ撮影すれば、見ようによっては児童ポルノ。  幼少期の過度なストレスで発育不全気味だった俺はいろいろと未成熟な部分が多い。  それでも年齢的に立派なアラサーのため、いわゆる相手の合意はなくとも合法ってわけだ。 「僕が正真正銘のクソ人間なら、この写真と一緒に鷗さんの住所ばら撒いてあんたの人生強制終了させてやりますよ。ほんと感謝して欲しいですね、僕が善良な市民であることに」 「はは、言えてる」 「笑い事じゃないですよ。足りてないんですか」  琥珀は、指先を自分のこめかみへ押し付ける。 「まあいいや。カウンターに座って足開いてください。兄ちゃんにバレたらさすがにキレられるんで」  そう言われ、俺は冷んやりとした人工大理石の上へ、素肌で腰を下ろした。  開店前に俺が掃除して、営業後も俺が磨き上げたそのつるつるとした感触が、玉の裏に触れた。 「そういや僕、興味あるんですよね」  俺はまるで見せつけるよう足を開き、その間へスマホを受け入れる。  人のことを好き勝手しておきながら、てんで嬉しそうでもなく、怒りに震えるわけでもなく、琥珀は淡々とシャッターを切っていた。 「興味?俺に?」 「なわけないでしょ。近親そーかん」 「え」  冗談を言っている風でもない。  視線はスマホに向けたまま、琥珀がため息をつく。   「鷗さんって自分の叔父さんと寝てんでしょ?」 「え、いや、俺は…。近親相姦って、琥珀は那緒のこと気に入ってるんじゃ…」  困惑する俺を前に琥珀は、「それはそれ、これはこれ」と珍しく笑顔を見せた。

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