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「最近は、何人と寝てる」  小さなローテーブルで向かい合い、久しぶりに会った甥っ子への最初の話題がこれか。  冷蔵庫になにも入っていなかったので、仕方なく水道水をひねって出すと、再び舌打ちが返ってきた。 「客人に水道水とは、お里が知れる。あのバカ兄にこのバカ息子有りだ」 「すみません」 「おまえみたいなど底辺には勿体ないが、妻の実家の酒蔵から送られて来た焼酎を持ってきてやった」  上から目線を絵に描いたような男は、どさり、と酒瓶の入った紙袋をテーブルへ置く。  酒は苦手だと言うより早く、「俺の酒を飲まない選択肢などおまえごときにない」と言い放たれた。 「おまえを気にかける数少ない親族の一人として、ゆっくりおまえの近況を聞かせてもらうぞ」 「そんな、大したことは…」 「バカ。おまえは脳足りんだから、物事の大小が理解できていないんだ。手当たり次第男を引っ捕まえて、誰にでも喜んで股を開く男は、普通じゃないからな」  グラスの水道水を流しに捨てた和志は、自らの手で酒を注ぐ。  俺のガラスのコップにも、なみなみに酒入れた。 「まずは、飲め。ちびちび女々しく飲むなよ」 「……は、はい」  色は水道水と変わらないくせに、アルコール独特の臭いが、すでに俺をくらくらさせる。  昔からこの人は医者という職に就きながら、未成年の俺に酒を飲ませるど畜生だ。  飲まないと乱暴されるし、酔ってへろへろになっても乱暴された。 「で、最近何人と寝たんだ」  人には潔く飲めと言うくせに、和志はちびちびと酒を進める。  空きっ腹に酒を流す俺は、早々から胃がむかむかし始めていた。 「何人って…」  珊瑚、重形のオヤジとその連れの2人。  あとは連日、那緒とヤるだけ。 「5人くらい」 「ウソつけ。おまえのような年がら年中発情期の動物は、しょっちゅう尻慰めてもらわないと満足しないだろう?」  鼻で笑う和志の見解はあながち間違いではない。  回数は覚えたてのサル並みだが、特定の相手ができたがゆえに人数は少ない。  世間一般に5人が多い少ないはさておき、だ。

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