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 内側をゆっくり押し広げられていく。  痛みはないが、気持ち悪かった。 「んぐ。んう、う」 「間抜けな声を出すな」 「す、すいません」  足がびくびくと跳ね、不可抗力で声が出る。  尿道を逆流するような感覚だ。  歯を食いしばって耐えようとしてみても、奥へ奥へと進むたびに体が震えた。  14のとき、施設から半ば押し付けられるよう祖父母に引き取られた。  そのとき初めて会った父の弟は、優しい目で俺を迎え入れた。  俺は和志の言う通り、反抗も抵抗もせず、要求を受け入れる。  引き取られた日に、早急に関係を持ったときも、俺は家の誰にも口外しなかった。 「ガキの頃から変わらないよ、おまえは。中身も見た目も。無知で愚鈍で騙されやすく、偽りの愛情を求めて易きに流れる」  これ以上はもう奥に進めないというところで、和志はその金属棒をぐりぐりと回転させた。 「自分で考え判断しないから、後悔する。その場の都合で物事を決めるから、他人へ不必要な不幸をもたらす。おまえは誰にとっても疫病神みたいなものだ」  勢いよく引き抜かれた棒が、再び中へ沈む。  強すぎる刺激に四肢をバタつかせ、腰を揺らした。  自らの危機を自らで乗り越えるべく、防衛本能で先走りが溢れ出す。  じゅぷ、じゅぷ、じゅぷ。  耳の奥まで響くような水音は、俺の羞恥を煽った。 「あううッ、くる、くるしッ」 「それが好きなくせに。かまととぶるなよ」 「お、おぐ、いや、いやらッ!へんなるうう」  本気で暴れれば、逃げられるのかも知れない。  ただ、植え付けられた今までの恐怖が、俺をその場に留めようとしている。  俺は壊れたおもちゃだった。

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