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第4話
あれから斗真君とほぼ一緒に居る。
朝、玄関から出たら斗真君居て、心臓が止まるかと思った。
教室ではあまり話さないけど、登校中、昼休憩中、下校中に色々と話をする。
陽介達とは、授業と授業の間の休憩時間に喋るくらいかな。
今俺は何やら急用が出来たらしい斗真君を、終わるまで廃ビルで待ってる。
暇なので一緒に居る不良君達と、勉強中。
S大目指してるからね、みんなの勉強くらいは見れるのです。
「あーここは、これを先に計算しないと無理だよ。」
「そう言うことか!」
こんな感じで先生してる。
テストも近いし、復習にもなるから一石二鳥ですね。
スマホが鳴って、19時を超えて居る事に気付いた。
「優、どうした?」
『進がまだ帰ってきてないから気になった。』
なんと!?あの優君が俺の心配を!?
「大丈夫。みんなと勉強してるだけだよ。斗真君ももう少しで戻ってくるんじゃないかな?」
『斗真君と一緒じゃないの?大丈夫なのかよ』
「大丈夫大丈夫。斗真君の友達たちだから優しいよ。」
『あーそういう感じね。まあ良いや。遅くなるなら連絡くれよ。』
「うん、わかった。優、ありがとうね。」
『ういー』
良い子に育ってお兄ちゃん嬉しいよ。
その後も勉強を続けて、斗真君が戻ってきたのは20時を回った頃だった。
「手怪我してんじゃん。絆創膏有るからちょっと待って。」
大人しく手当てを受けてる斗真君。
服には赤い色のシミが所々に有る。
他に怪我は無いようだ。
何も聞かないのか?と斗真君と良く喋って居る不良君たちの1人、長友君が聞いてきた。
「聞いても話せる内容なの?それに聞いたところで、俺は不良君達の事情知らないし、話せるなら斗真君が話ししてくれるでしょ。」
そか、と納得?してくれたようだ。
優に連絡を入れて遅くなったので二人でラーメン食べてから帰った。
家に着いたのは21時半だった。
俺を家に送り、斗真君はそのまま帰っていった。
優はコンビニに行くと言って出ていったので、ついでにアイスを頼んだ。
「斗真くん!!ちょっと待って!」
進を家に送った帰りに優に呼び止められ、駅近くの公園に入った。
「少しだけ、進の事で話ししておきたい事があるんだ。」
そう言われれば断る理由がない。
薄暗い公園内には、他に誰も居なさそうだ。
「結構、俺んちきてさ。おかしい事無い?」
優は言葉を選びすぎて、おかしい話し方だが、何となく言わんとして居る事がわかる。
「進と親の関係か?」
優は力強く頷き、俺の考えを肯定した。
「斗真くんさ、進の部屋でさおかしな物あったの気づいた?」
「あー女の物が有ったな。」
「あれは進の物だよ。進の部屋には、進の物しかない。俺の物も無い。」
は?
優は何を言っているんだ?
進は男だぞ?
あの部屋で、隠すように置いてた生理用品。
進の物?
「この話を言葉に出すのは、誰に聞かれるか判らないから、出すことはできない。」
本当なのか?意味がわからない。
「斗真くんが進を大事にしてくれるなら、俺は何も言わないよ。ある意味安心だからね。
だけど、進に何かあれば誰のものにもさせない。俺が家族として、兄弟として守るから。
今の話を聞いて、気持ち悪いと思うのなら、今すぐ離れて。進は両親からは気味悪がられてる。先月からアレが始まってる。今月分ももうボチボチ来ると思う。大事にしてくれるなら協力するし、敵になるなら今後一切、会えないようにする。」
俺にこれだけ話す事は相当な覚悟で居るんだろう。
喋りも早口で、握った手も白くなってきている。
じゃあ俺の覚悟もちゃんと話さないとダメだよな。
「俺は進が好きだ。さっきの内容が本当なら俺にとっては好都合だ。誰かにやるつもりもない。今日遅くなったのは、家がらみの用事だったが今後は無い。」
そう言うと、優はホッとしたように力を抜いて表情が柔らかくなった。
今後の為、優と連絡を交換してからコンビニに向かった。
進のお土産にバニラアイスを買って持たせた。
優と別れた俺は、スマホを取り出し通話をかけた。
これからの進との生活の事を早々に進めていかないと行けなくなったからな。
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