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第5話

んー最近眠い。やたらと眠い。 昨日は22時まで起きていられず、いつの間にか寝てたんだよね。 起きたらベッドに寝てたから、斗真くんがベッドに寝かしてくれたんだろうなぁ。 恥ずかしいのと、起こしてくれたら良いのに!っていうのと、もう少し喋っていたかったのにと、色々複雑。 いつもの如く、廃ビルで勉強会。 不良君の成績もニョキニョキ上がっているようで。 テストは明後日から始まるのでラストスパートをかけてるのだ。 けどなぁ、眠い。 「進さん少し寝ますか?」 「んー、ダメぽい寝る。」 そのまま声のする方に倒れながら意識を飛ばした。 ポンポンと頬を軽く叩かれてる。 「すーすーむー。起きれるかぁ。」 「んーとぅまぁ?」 ダメだこりゃ、って笑いながら言ってる気がするけど、無理、起きれない。 抱き起こされて、斗真の匂いと熱を感じながらまた、眠りに着いた。 うー、んー、ダメだ。お腹痛い。 股のあたりが濡れてる感じがする。 濡れてる? ガバッと起き上がり布団を捲ると、出血大量。 やっちまった。 異常な眠気は、生理前だったのか。 これはきついなぁ。 また母さんのあの目を見るのか。 あれ? ここどこ? 知らない部屋に家具もみた事ない。 ベッドの大きさもデカイし、シーツの柄も見た事ない。 この服デカすぎて、腕も足もめっちゃ捲り上げられてる。 けど、この大惨事をどうにかせねば。 どうしよう。 ガチャリと出来るだけ静かに開けられたドアから斗真が入ってきて、起きたのか?と聞きながらこっちに来る。 血の気が一気に引いていく音がする。 「な…、なんで……ここどこ?」 生理がバレる!! 身体の事が!? 気持ち悪いって。 来るなって。 斗真が離れて行っちゃう。 ど、どうしよう!? 布団を固く握って、斗真の顔なんて見れないから、震え始めた手を見ることしか出来ない。 「進?どうした?」 そんな優しい声かけないで。 俺は、俺は気持ち悪い子なんだ。 布団をめくろうとする斗真の手を、止めようと掴む。 大丈夫。大丈夫だから、ね?って、微笑む斗真の笑顔に、いつの間にか流れていた涙を拭ってくれる手の温もりに、俺は力を抜いたんだ。 悲惨な状態の俺に驚く事なく、抱き上げ風呂場に連れて行きシャワーをかけて、流して行ってくれる。 ゆっくり浸かっていてと湯船に入れてくれて、斗真は出て行った。 直ぐに戻ってきた斗真は裸で一緒に湯船に浸かり、俺を後ろから抱きしめてくれる。 「斗真、あのね。」 少しずつ俺の秘密を斗真に聞かせて行った。 何故だか、斗真は俺から離れていかないんじゃないか?って思ったんだよ。 「俺、生まれつき女性器ついてんの。今まで男として生きて来れたから、このままで良いって思ってた。だけど、先月に生理きちゃって。あっごめん…布団汚しちゃって。気持ち悪いよね。ごめんね。も、もう俺と居なくて良いよ。ごめん、ごめんな…さい。」 抱きしめる腕が苦しいくらい優しくて、頼もしくて、離したくない。 斗真が大好きだから、ごめんね。 ふぅ〜って斗真君の吐く息が俺の耳に当たって、反応しそうになる身体が恥ずかしくなる。 「進さん、俺は要らないんですか?」 振り返って斗真の顔を見る。 寂しそうな、悲しそうな顔で、俺に問うてくる。 唇を噛み、涙を流す俺は、首を横に振るしか返事する事ができない。 だって、言葉にして縋ってしまえば、斗真は優しいからそばに居てくれるだろうから。 斗真君も泣きながらもう一度、同じ質問をしてくる。 「俺はもう要らない?」 そして少しだけ笑顔で。 「僕が欲しくない?」 そんなこと言われたら。 「ぼじいいいいい!!斗真が大好きいいいい」 斗真の頭に抱きつき、泣き叫ぶ俺の声は、風呂場だからよく響いた。 斗真も俺をきつくきつく抱きしめ、俺も好きだああと叫んでくれた。 もう一度目と目を合わせて、好きだと囁き合って初めてキスをした。

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