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第9話

オドオドしながらでも、ゆっくりと俺の体の事を説明して、斗真も医師から聞いた説明をお父さんにしてくれた。 ずっと俺の背中に手を当ててくれて、一緒に居てくれるって言う安心をくれる。 「進の体の事はただの副産物で、俺はそんなものが無くても進と生きていきたい。だから許して欲しい。」 2人でお願いしますって頭を下げるけど、お父さんからは何も返ってこない。 やっぱり気持ち悪いよね。 しかも男が息子と付き合うとか、許せないんだろうな。 「さっさと返事しなさいよ!」 番の鶴の絵が分かれて、その開かれた襖からは着物美人が出てきた。 「ほわぁ〜美人〜」 「ンフ。ありがとう♪あなたが進君ね。私は斗真のお母さん。真紀(まき)って言うの。あ〜ん可愛い子じゃない♪お母さんって良んでね。甘いものは好き?ちょうど良いケーキ買ってきたのよ。しんじ!さっきのケーキ持ってきて!二人はほっといてお茶しましょ♪」 斗真のお母さんは、かなりグイグイ来てくれる。 それが逆に俺が気持ち悪いとは思っていないって伝わってきて嬉しい。 お父さんと斗真は二人で真剣に話し合って居る。 少し離れたところでお母さんと俺は、しんじさん?が持ってきてくれた紅茶とケーキを食べてる。 「このタルト美味しい!」 「そうでしょ?主人はショートケーキしか食べないのよ!ここに居る男達も一緒に食べてくれないし。こうやって一緒に食べて分かち合えるの嬉しいわ!」 お母さんはか細い白い手で俺の手をギュウギュウと握ってくれるんだけど、かなり痛い。 よっぽど嬉しいのか、興奮が半端ない。 「母さん手を離してやって。進が食べれないよ」 斗真とお父さんがこっちに来た。 「話終わったの?これ美味しいよ、はい」 斗真に一口サイズに切り分けたタルトを食べさせる。 「うん。うまいね。」 「でしょ!?フルーツとカスタードも美味しいけど、サクサクのクッキー生地のタルトが美味しすぎる♪お母さんこれってどこのお店なんですか?」 お父さんとお母さんがポカーンと俺たちを見てる。 「あはは、本当に仲良しだね。」 「進君、斗真とこれからもよろしく頼むよ」 ご両親にちゃんと許しをもらえることが出来て、本当に嬉しくて幸せだなぁって思えたんだ。 その後、お母さんと一緒に夕飯を作って、俺の味に太鼓判を押してもらったよ♪ お父さんにも、うまいうまいって褒めてもらえた。 そのまま泊まることになったんだけどね。 「斗真さん、なんですか、このお部屋」 そうだよね、とおされた部屋も広かったし、台所もすんごく広くて備え付けられてる家電も、最新式でしたよ。 だからって、何この部屋の広さ。 俺の部屋いくつ入るの? 「あれ?この間泊まったマンションは?斗真君のって言ってたよね?」 「マンションは税金対策の為に学校から近いから建てたんだよね。」 「建てた?あれ?買ったんじゃないの?」 「俺、株とか色々やっててさ。あの土地を親父がどうしたいか聞いてきたから、その金で土地を親父から買ってマンション建てたんだよね。 だから、何もしなくても食べていけるよ。」 「うん、なんかサラッとすごいこと聞いた気がするけど、きかな」 「聞かなかったことにしないでね」 遠い目をして現実逃避していた俺を現実に戻すようにキスをしてくる。 なんだかすごい旦那様を手に入れようとしてない!? 俺で大丈夫かな?

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