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デートとは?2

★ 「クッソ!!叔父さんのアホ!!」 「まあ、しゃあねぇよ…オレらがどんだけ歪んでんのかよくわかった」  俺たちは、呆れ返った叔父さんの手でついさっきアパートを追い出された。  いっぺん普通のデートしてこい、となんでか怒鳴られてしまった。そんでもって、行かないと本当に追い出すと言われたので、仕方なく外にでてきたわけだが。さすがにホームレスになるのはイヤだし。 「そもそもデートって何をするんだよ…」  途方に暮れるとは、こういう事をいうのだろうか。 「マキの偏った知識的に、デートって何すると思う?」 「会ってヤッて帰る」 「ブフッ、それはオレでもデートじゃないってわかるぜ」 「うっせぇよ…だっていつもそうだったんだぜ?そんな俺にデートとは?とか言われて、まともな答えが出せるわけねぇだろ」  別に惨めだとか思ってない。だって結局、ヤりたいから会うんだろ?過程は違えどゴールは一緒だ。 「そこで提案なんだけど」  ユキがニヤリといつものイヤな笑みを浮かべた。俺は思いっきり顔を歪める。 「なんだよ?」 「マキはデートと言われても、どうせ具体的な案がでないと思ったので」 「ウザッ」 「今日一日、オレがリードするから、お前は黙ってオレについてこい」 「なにちょっとカッコつけてんの?」  ドヤ顔してるけど、コイツもさっき「デートってどうやんの?」と言っていたことを俺は忘れてない。 「いや、よくよく考えてみたらさ、ヒモやってた時にたまに出掛けてたんだけど、アレってデートだったんじゃね?と思ってさ」 「具体的には?」 「なんかパンケーキ食いに行ったり、服見に行ったりした」  なるほど。それは俺には思いつかない。 「確かにそれっぽいな」 「だろ?」  俺は小さく頷いた。人並みの幸せに憧れはしても、ユキの言う通り、具体的にと言われると俺には思いつかないし、だから俺は大人しくユキに従うことに決めた。 「わかった。お前に着いてくよ」 「じゃあ、今からオレらはセックスする前の、純粋な両想いで、付き合って初めてデートをします」 「お、おお、うん?」 「もちろん手を繋いだこともありません」 「高校生か!?」  なんだコイツ。やっぱりなに考えてんのかわからん。 「下の名前を呼ぶのも、今日が初めて」 「え?」 「修哉、手…出して」  俺は耳を疑った。ユキの悪戯っぽい顔にドキッとしてしまった。またアホな事考えてんじゃねえだろうな、と思っていたのに。  差し出された手を、掴むのに勇気がいることを初めて知った。  別に本当に初めて手を繋ぐわけじゃない。酔っ払って何度も手を繋いで帰った。それに、今更人前でとか、同性なのに、とかも気にならない。  それなのに、何で今日はこんなにも緊張するんだ? 「顔赤いぜ」 「うるせぇ」  軽く触れるだけの俺の手を、ユキの手がしっかり握り返してくる。 「んじゃあ行きますか」  ユキはそう言って、俺の手を引いて歩き出した。  とりあえずと向かったのは駅だ。せっかくだから、少し離れた街まで行こうと言う話になり、俺たちは切符を買って電車が来るのを待っているわけだが。 「いつまで手繋いでんの?」  切符を買う時も、改札を通る時も、ホームに降りても、ユキは俺の手を繋いだままだ。 「恥ずかしい?」 「……いや」  確かにチラチラと視線を向けられてはいるが、別に全裸で歩いている訳でもないから、恥ずかしがることもない。 「じゃあなに?」 「手が暑い」  ユキがニヤリと笑って、より一層強く手を握る。どうしたもんか、と思っていると電車が来て、俺たちは適当に空いている座席に座る。 「電車なんて乗んの、久しぶりだ」  流れるように過ぎていく景色を見ながら言うと、ユキも頷いた。 「オレも。基本的に住んでる街から出ないからな。金もないし」 「確かに…」  もちろん今回のデートも俺の金が使用されている。いつのまにか、財布を持つのはユキの役目になっていて、どう言う訳か銀行口座の暗証番号もユキに知られている。  有能ニートというより、犯罪者気質だと最近思う。  俺たちは4つめの駅で電車を降り、一際賑やかな繁華街へと足を進める。若者が多い街だなんて、ジジイみたいな事を考えながら、手を引かれるままに歩き、たどり着いたのはなんやらよくわからん店の前。 「ここに入る気か?」 「そう。文句ある?」 「いや……」  有無を言わせない笑顔が怖い。 「ちょっと並ぶけどいいよな」 「ん」  と、やたら女子ばかりが目立つ列の後ろへ並ぶ。 「言った通りパンケーキの店なんだけど、平日なのに人が多いな」 「そうだな」  店の外観は淡いピンクで統一されていて、なるほど女子が好きそうだな、と思った。圧倒的に女子が多いけど、なかには男女のカップルと思われる組み合わせもいる。 「デートって感じだろ?」 「店の色だけ見りゃそうだな」 「ヒモやってた時に、よく来たんだ。味は美味いよ」 「あっそ」  ヒモって大変だなと思った。わざわざこんなところに、並んでまで来るなんて。俺には無理だ。どんなエゲツないプレイも耐えられるが、こういうのは向いてない。  ふと視線を感じた。2、3列前の二人組の女が、チラチラとこっちを見ていた。俺たちというより、ユキを見ていることがわかる。  そりゃユキはイケメンだし、チラチラ見たいのもわかる。あわよくばと思うのもわかる。  でも残念ながらコイツは俺のちんこなの。他を当たれと念じておく。  それでも女子二人は、チラチラ見るのをやめない。俺の念は通じなかったようだ。  そんな事を考えていると、やっと俺たちの番が来て、店員に案内された席に座って一息つく。  夏も終盤だが、並んでいるだけとはいえ、めちゃくちゃ暑かった。 「修哉はチョコかかってるやつだろ?」 「ん」 「意外と甘いもの好きだよな、そんな見た目でさ」 「悪かったな、こんな見た目なのに甘いもの好きで」 「デザートの作り甲斐がある」 「相変わらずマズいけどな」  ユキが苦笑いを溢す。少しずつ、料理の腕は上がっているが、未だに何かが足りない。不思議だ。  そういえば、先に店内に入っていた先程の女子二人は、偶然にも隣のテーブルにいた。  俺たちがくだらない話をしているのを、またチラチラ見ているのに気付いた。  ユキが店員に注文を伝え、俺はその慣れた口調をなんとなしに聞く。店内は賑やかだが、俺の耳はユキの声だけを拾い、目はその女子二人をなんとなく見ていた。 「修哉、どうした?」 「別に」 「もしかして好みの女の子でもいた?」 「は?なんでそうなるんだ?」 「お前女もイケるだろ」  何を言い出すのかと思えば、だ。 「お前は想像できないだろうけど、ケツの方が気持ちいいんだぜ」 「だろうな。スゲェ顔してるし、いつも」  それは認める。自分でも、ヤバいことはわかってる。言い返す言葉もない。  ファンシーな店に不釣り合いな話をしているところに、店員がパンケーキが乗った皿をひとつ持ってやってきた。  フワッとしたパンケーキに、チョコレートがこれでもかとかかっている。かなりデカい。 「半分ずつが、丁度いいかなと思ったんだけど」 「お前やるな。モテるだろ」 「そうでもないよ」  ウソつけ、と思いながら、俺たちはひとつの皿を二人でつつく。なんかマジでカップルみたい。 「修哉、あーんってしてくれないの?」 「はい、あーん」  なんて、棒読みでやりとりしながら、完食する頃には胃もたれが半端なかった。  あと、ずっとチラチラこっちを見ていた女子二人は、俺たちの見事なカップル具合を、顔を赤くしてガン見していた。俺が視線を向けると、気不味そうに顔を逸らす。俺がその時感じたのは、多分優越感だ。  パンケーキの店を出ると、今度は大きな商業ビルに入った。ユキが愛想のいい笑顔を浮かべながら、衣服を選ぶのを眺め、時たま話を振られるのに答えて過ごす。  ユキのお気に入りの店を何軒かまわり(ニートのクセに、お気に入りの店があるんだぜ?謎だろ?)、そのくせ特に何かを買うこともなく、あっという間に時間が過ぎる。 「疲れた」  俺がそう言えば、ユキはすぐに自販機で飲み物を買い、まるでもともと知っていたかのようにベンチへ誘導してくれる。  水の入ったペットボトルのキャップを空けるところまでやってくれるし、空になったそれを、いつのまにかしっかりゴミ箱に捨て、何事もなかったかのようにまた俺の手を引いて歩く。  デートって….感じだ……  いやむしろ、これがデートじゃないなら何なんだ?  ユキはもともと気を遣える(セックス以外は)男だ。伊達にヒモやってない。  俺はユキにとって特別な存在なのかな、と思えるくらいには、しっかりリードしてくれる。  あと、時々呼ばれる名前に、俺の心臓はドキドキを繰り返し、そのドキドキは、悲しいかな俺のちんこに直結している。  雰囲気もクソもない。俺の思考は、結局どうやってヤりたいと伝えるかにシフトしていくのだ。  散々歩き回り、夕食にと入ったレストランは、街中にヒッソリと佇む雰囲気の良い店だった。ここもヒモとして連れてこられた店なのだそうだ。  落ち着いた内装と照明、主張しすぎない調度品や、上品なウェイターが迎えてくれる店は、昔よくオヤジと行った高級レストランによく似ている。お忘れかもしれないが、俺はもともと富豪の息子だ。今はクソニートだけど。  値段は少し高めだったが、デートなんだから文句は言わないでおく。 「つまんなかった?」  無言で魚介類のパスタを食べていると、ユキが申し訳なさそうに言った。  世間一般的なデートを知らない俺にとって、その内容自体に何か意見を言えるわけもない。  でも、ユキの小さな気遣いや、俺の為に行動してくれることを考えると、楽しいってよりも嬉しさの方が大きいと思う。  なるほど、叔父さんが言っていた通り、セックス以外じゃないとわからないことも確かにある。 「つまらなくはないぜ。確かにお前は有能なニートだなと思った」 「元プロのヒモなんで」 「今だって大差ないだろ。というより、ニートのヒモしてるんだから余計にタチが悪い」 「そりゃオレは修哉を本気で愛してるから、タチも悪くなるさ」  ヤベェ。俺は単純でアホだから、そんな言葉にもドキッとしてしまう。  そのドキドキのせいで、いつもよりユキがエロく見える。薄い唇とか、長い指とか、たまに目が合うと、キリッとした目を細めて笑うところとか。  ふとここで、ユキが最初に言った言葉を思い出す。  俺たちは今日、初めてのデート中だ。手を繋ぐのも下の名前を呼ぶのも初めてだ。セックスもまだしてない。  ……ところで、とてつもなくどうでもいい話だが、セックスもせずに付き合うことになるのって、ものすごい博打だよな。いざその時になって初めて相手のちんこの大きさを知るわけだし。  まさか小さかったし相性微妙なので別れよう、とはいくまい。  俺にはそんな博打は打てない。せめて、事前に何センチですか?と聞いてもいいのなら考えるが。  などと考えたせいで、余計に勃ちそうだ……  バカな事を妄想するんじゃなかった。  まあそんなわけで、ユキが最初に言った言葉を、どうしても受け入れることなんてできなくて。  早く帰ってヤろうぜ、と今にも口が滑りそう。  いやダメだ。今日はセックスもユキのちんこの大きさも考えてはダメだ。今のこのドキドキは、良い思い出としてとっておきたい。  どうせ帰ったら、またいつもの堕落した生活(性活ともいう)に戻るだけだ。いつまでユキが俺の恋人でいるのかもわからないんだ。  もしかして本当に、俺はユキの事が好きなのか。 「虎の意を借りたようなので悪いけどさ、オレは楽しかった。修哉と普通のデートすんのも、悪くないなって思った」  熱い視線。テーブルの上に乗せた俺の左手に、ユキの右手が重なる。指と指が軽く擦れる感覚に、背筋がゾワゾワとして、下腹部に熱が溜まるのを感じる。 「ずっとこうして、一緒にいられるのなら、オレは修哉の為になんだってする……って、こんなとこで言うと、まるでプロポーズしてるみたいだよな」  と、ニコリと微笑むユキの手が、俺の左手の薬指の付け根に触れた。  天然か?計算か?  どちらにせよ、ユキのことを少しでも疑っていた自分が恥ずかしい。 「そろそろ出ようか」 「……ん」  今このフワフワした気分のまま、ユキにめちゃくちゃに抱かれたら最高だろうな。なんの疑いもなく、ユキに身を任せられたら死んでもいい。大袈裟だと言われるかもしれないが、なんの取り柄もない俺は、快楽に身を委ねるしか生きている実感を得ることもない。  レストランを出てすぐに、ユキは俺の手を握った。今日一日ずっと握っていた手だ。慣れたはずなのに、俺の心臓はまたドキドキと激しく動き出す。  すっかり暗くなった空の下を無言で歩く俺たち。途中、人通りもない寂れた公園があった。  ポツポツと外灯が照らしているが、木々に囲まれている為に、鬱蒼とした雰囲気が不気味だった。  少し前を歩くユキの金色の髪が、月明かりに照らされて輝き、俺は思わず声をかけた。 「ユキ」 「ん?」 「あのさ」  少し前にも、同じような状況があったなぁと思った。ユキが俺に触れてくれなかった一週間は、とても長かった。 「我慢できないんだけど」 「えっ!?」  驚くユキの顔を、初めて見たかもしれない。  ユキの唇を自分のそれで塞ぐ。今日一日、ただ見てるだけなのが辛かった。名前を呼ばれるたびに、何度塞いでやろうと思ったか。 「ふ…ぅん……はぁ」  唇が離れると、ユキが俺の目を真っ直ぐ見て言った。 「修哉…オレもずっと我慢してた。帰るまでは、と思ってたんだが…無理そうだ」  ユキが俺の手を引いて公園の隅、外灯の明かりも届かない木陰へと向かう。大きな木に背を押しつけるように、ユキは俺を抱きしめながらまたキスをする。深く長いキスに、俺のデニムの中はもうパンパンだった。 「修哉のキツそう」 「お前もだろ」  そう言えば、ユキはニヤリと笑って俺のデニムを下げ、硬くなったものを取り出した。 「そういやいつも修哉にさせてばっかりだったな」 「好きだからいいんだよ」 「確かに、いつもめちゃくちゃ美味しそうにするよな」 「うるさいよ、ぅあっ!…は、はぁ…」  ユキの熱い舌が、俺の先端を舐める。先の割れ目を広げるように、ヌメっとした感触が襲ってきて、先走りが溢れるのを止められない。 「は、はぁ…ユキ…」  一気に口の中に含まれる。思わず腰が引けるのを、ユキの舌が追ってくる。 「も、離して…出そ、う…」  首を振って堪える。ユキの頭を掴んで、押しのけようとするが、ユキは聞こえていないフリをして、離してくれない。 「ぁあっ…はっ、も、もう出るって!ユキっ…んふ、んンンッ!」  足がガクガクと震え、立っていられない。それを、ユキの手が優しく支えてくれる。 「頑張って立って」  ユキが、俺が口に出したものを手に、後ろを弄ってくる。俺は腕をユキの首に回してしがみついた。そうしないと倒れそうだ。 「んひっ……あああ、ユキっ、ん…」 「穴の中めちゃくちゃウネってるけど、そんなに欲しかったんだ?」 「やぁ……いう、な…!!」  我慢していたというのもあるけど、外でするのって何気に初めてだったから、いつもより興奮していたのかもしれない。  ユキの指が一本二本と増えるのも、より鮮明にわかるような気がする。細くて長い指が、尻の穴を拡げると同時に前立腺も刺激して、出したばかりのはずなのにもう爆発寸前だ。 「挿れていい?」 「ちんこをケツになら、っ、いいぜ」 「ほんと根に持ってるな」  呆れたように言って、ユキが俺の片足を持ち上げる。グリグリと先端を押し当て、一気に奥へと入ってきた。 「んっ、あぁっ…あ、はっ……!」 「修哉っ、気持ちい?」  普段そんなことを聞かれないから、なんだか変な気分だった。 「んっ、はぁ…きもち、い、あああっ!?」  答えると同時に、ユキが激しく腰を動かす。不安定な体勢だから、いつもと違うところに当たっている気がする。でもそれも、徐々に増す快感によくわからなくなる。 「修哉、オレの名前も呼んで?」 「はぁ、ん…こう、た…いひゃ!?な、おっきくなった…んぁあ!!」 「やっば…もう出そう…後ろ向いてよ」  本当にバック好きだなぁ。俺も好きだけど。  体勢を変えると、動きやすくなったのか、ユキはさらに腰を打ち付けてくる。両手で胸の突起を摘んだり引っ掻いたりされると、背筋がゾクゾクしてヤバい。 「月明かりで照らされて、跡が綺麗に見える」 「変態っ…んん…っ」 「キスマーク付けちゃダメなのって、けっこう寂しいぜ」  それは今言うことか? 「も、勝手にしろよっ…!どうせ…ん、好きにするんだろ…」 「わかってんじゃん」  もういいや。コイツは俺の言うことなんて聞かないんだから。いつも好き勝手する。でもそれに、逆らえないくらいにハマってる俺は何を言っても手遅れだ。 「修哉っ、中に出すな」 「んっ、あぁ!イく、ぅあ…はぁ、はぁ」  ビュクビュクと熱いものが注がれ、同時に俺もイッた。イッたのに、ユキは俺のちんこをむんずと掴んで離さない。 「……離して?」 「ちょい待って。外だし、潮出してみたい」 「は?」  出たよ、ユキのようわからん思考。 「それは流石に、恥ずかしいっ、ぁあっ、!?や、やめっ、も、離してって…んぁぁあヤメっ、先っぽヤメてぇっ」 「大丈夫大丈夫、誰も来ないから」 「な、なんでっ、ンンッわかんの!?」 「そういう公園だから」  ?????  と、疑問符が浮かぶ。が、先にちんこが爆発した。透明のサラッとした液体を、木の根本に盛大にぶっかけた。 「ぁぁああああっ…はぁ、はぁ」 「スゲェ…エロいわ、修哉」  おおっ、と歓声をあげるユキに、俺は疑問をぶつける。身体が怠いとかとりあえず気にしない。それくらいクソビッチな俺は慣れてる。 「そういう公園ってどういうことだよ?」  あっ、という顔をしたユキは、あからさまに視線を泳がせた。 「いやぁ…なんだろうな?」 「ふざけんなよテメェ!?やっぱりなんか裏があるんだろ?」 「裏っていうか、オレにとっては表?」 「は?」 「だ、だから、本当はさ、これが目的だったってか、たまには野外プレイもいいなぁ?なんて、思ったりしていた午前のオレ」 「死ね!!!!」  ってことは、 「もしかして、お前にとってデートはここに誘導するためのもので、最初から外でセックスしようと思ってたってわけか?」  しかも、午前って、叔父さんに追い出されて速攻で思いついたのならある意味スゲェ頭の回転だな!? 「まあそうなるな。この公園、そういうスポットだから」 「じゃあなにか?デートの内容はないの?」 「マキおもしれぇ」 「死ね!!!!」  くっそぉ!!!!  あの俺のドキドキはなんだったんだ?アレも全部計算か?俺に外でヤりたいと言わせるために、雰囲気作りしてたんなら相当計算高いぞ!?  つか俺やっぱめちゃくちゃチョロいじゃん。 「一発殴らせろ!」  俺の振り上げた拳が、挙動不審のユキの顔面にクリーンヒットした。ボコっとそれはもう、珍しく綺麗に入った。 「イッツ……」  鼻を押さえて声を漏らすユキ。フラリと上げた顔に、表情は無かった。  ヤバ、キレた。と思った時にはもう遅く。  ユキの重い拳が飛んできた。容赦のないユキの拳を、俺は避けられたことがない。 「ガハッ…!!」 「マキ、お前さぁ、いくら殴られたいからって、ガチで入れんなよ……」  腹を抱えてうずくまる俺の胸ぐらを掴み、ユキが恍惚とした笑みを見せる。 「オラッ!立てよクズが!」  またユキの拳が飛んでくる。人を殴ってるというのに、ユキはなんでこんなに楽しそうなんだろう。  俺には一生コイツを理解することはできそうにない。  そんでもって、ボコスカと殴られながらも、ヘラヘラと笑いながらちんこおっ勃ててる俺も、誰からも理解されることはないだろう。  結局のところ、好きだとかなんだとか関係なく、俺たちの利害は一致してる。

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