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温泉旅行3

☆  18時ちょうどに、数人の中居さんが夕食を持ってやってきた。  テーブルに豪華な海の幸が並ぶのを、オレはワクワクしながら眺めていた。他人の金で行く旅行は楽しいし、豪華な食事は旨い。それが、大好きな相手と一緒ならば尚更だ。 「マキー!メシにしようぜ!!」  声をかけた先には、畳の上で大の字に伸びるマキがいる。射精を我慢させたあとのマキは、いつも以上に無気力だ。そんなところも可愛い。  ノソっと起き上がったマキの浴衣がはだけ、華奢で色っぽい胸元が顕になる。さっきもやったばかりだが、もうすでに舐め回したい。 「おいでおいで」 「俺はなんかの動物かよ」 「犬より猫だよな、いろんな意味で」  オレの言葉に、マキは心底冷めた目をした。思わず背筋がゾワリとして、ちんこが反応してしまう。  食事を始めると、やっぱりマキは無表情で、目についたものを片っ端から口に運ぶ。海の幸に感情があるのなら、コイツにだけは食べられたくないと思った事だろう。 「さっき風呂入ってるときに思ったけどさ、マキって血が出るのが趣味なのか?」  オレはずっと気になっていた事を聞いてみた。前々から気付いてはいた。主に背中と、ちょうど半袖を着たときにはわからない位置に、多くの小さな傷がある。それらは均等に並んでいるところもあれば、単体で存在しているところもあり、ピアスの跡なのだろが、それにしては多い。  オレの付けた跡はすぐに消えてしまうのに、と思わないこともない。 「メシ食いながらする話でもないが……大学の時にヤッてた相手の趣味で、一時期身体に穴開けるのにハマってたんだよ」  オレは自分自身にピアスをしようと思った事がなかったから、耳以外の場所に穴を開ける行為を、知ってはいても実際に見たことはなかった。  興味が湧いた。マキの身体に残るその跡に。 「どんだけ開けてたんだ?」  そう聞くと、マキは刺身を食べながら少し考えるそぶりを見せた。 「確実には覚えてないが、十箇所以上はあったな…お前も分かると思うけど、スタンダードなヘソとか、あとは首に何箇所か。珍しいので言えば、背中に二列縦に並んでんのは、コルセットピアスの為にあけたヤツだ」 「コルセット?」  そう言われて思い浮かぶのは、昔の女性が腰にしていたアレだ。  マキはそんなオレの脳内を見透かしたように、声を上げて笑った。 「フハハ、お前の想像通りだと思うぜ。ピアスとピアスをリボンで繋ぐんだよ。コルセットみたいに」 「ぶっ飛んでんな」 「だろ?俺に言い寄ってくるヤツなんてそんな気の触れたヤツばっかなんだよ、昔からな」  でもオレは確かに興奮した。しなやかでスベスベしたマキの白い背中を、歪に彩るであろう装飾に興奮しない方がどうかしていると思う。  それから、と、マキは自虐的な笑みを浮かべて続ける。 「肩甲骨辺りの大きめのはサスペンションの跡だ。皮膚にフックかけてブラブラさせるっていう、一体何が楽しいのかわからない行為のために開けた」 「エゲツないこと考えるなぁ」  びろーんと吊り下げられたマキを想像し、それが母猫に首を噛まれて運ばれる子猫のイメージと被る。 「痛くないのか?」 「痛い。けどそれが良い」 「ドM」 「そうかもしれない」  箸を置いたマキは満足そうな顔をしているが、どこかソワソワしているのはタバコが吸いたいからだろう。  それからしばらくは他愛もない会話を続け、食事が終わった後は、敷地内の隅に追いやられるように設置された喫煙所に向かった。  戻ってくると、時刻は21時を過ぎたあたりだった。  ここでオレは今回の旅行の最大の目的を実行することにした。  それは、エリカちゃんにこの割引券をもらった時から、心の奥底でジワジワと温めていた計画だった。  旅館!和室!畳敷き!浴衣!マキ!  と、くれば、思い浮かぶのはひとつだろう? 「マキ、ちょっと後ろ向いて座って」  部屋へ入るなり、布団(食器類が消えたかわりに布団が現れていた)に潜り込もうとするマキを引き止める。 「なんだよ?」  怪訝な顔をするマキ。言われた通り、ちょこんと布団の上に座る。この従順さがドMの精神を表していると思うのはオレだけか? 「オレはいい物を持ってきた。感謝してくれ」 「はあ?」  そう言ってカバンから取り出した物を持ってマキの後ろに膝立ちする。 「両腕後ろにして」 「ん。こう?」 「捕獲完了しました!!」 「あっ!?」  二つ折りにした赤い縄を重ねた両腕に巻き付け、軽く縛る。きつくなり過ぎないようにするのがポイントだ。 「……手馴れてね?」 「ヒモ時代に緊縛師に教えてもらった。そん時の相手が、こういうの好きだったんだ。今思えば有り難い機会だった」  そう、オレはずっとやりたかった。緊縛プレイ。その為にこっそり赤い縄を持ってきた。あえての赤だ。ここにオレのこだわりがある。  縄を右腕のほうからくるっと回し、左側からまた背後に縄を戻す。そんな感じで何度かグルグルしていくのだが、詳しいことはググれ。 「やっぱ浴衣は着衣縛りがいいよな」  せっせと手を動かすオレをよそに、マキがマニアックな事を言った。  そうだった。マキもオレと同じぐらい歪んだ性癖を持ってるんだった。ほんと気が合うなぁ、オレたち。 「はい、完成。股縛りもする?開脚縛りでもいいけど」 「お前有能だな」 「だから有能ニートって言ってんだろ。つか、マキだって色々知ってんじゃん」 「もちろん経験済みだからな!でも俺はされる方で、縛る方はできない」  ド変態め。そんでもって、嬉しそうなのがまたエロい。 「マキ、とりあえず記念写真撮ろうぜ」  オレがスマホのカメラを起動すると、マキはノリノリでそれっぽい顔をして言った。 「AVの表紙にありがちシリーズ」 「マキでもAV見んの?」 「見ない。俺の方がエロいと思うから」 「オレもそう思う」  そんなくだらないやりとりをしながら、オレは写真を撮りまくり、マキは嬉々として色々なポーズをしてくれた。詳しくはご想像にお任せする。 「これ待ち受けにしようかな」 「ヤメロ」 「じゃあマキの着信画面にする」 「オメェには一生通話しねぇ」  フン、と鼻を鳴らすマキに、オレはスマホを放り出して抱きつく。  そういえば、マキから着信が来たことは無い。かけるのはいつもオレからだ。少し寂しいが、マキらしいといえばマキらしい。 「撮影会は終わりかよ?」  身動きの取れないマキが、期待に上擦った声で言う。頬を赤く上気させ、露出した胸の突起は縄が擦れてピンと上を向いている。  浴衣に隠された下半身もキツそうだ。オレもだけど。 「ホントは開脚縛りもしたかったけどやめにする。我慢できそうにないや」 「楽しみは小分けにしないとな」 「確かに。そんでもって次は全裸でやる」 「変態」 「嬉しそうな顔してよく言うぜ」  ニヤリと笑い合う。さて、おしゃべりはこの辺にしておこう。  オレは自然と溢れる笑みを抑えもせず、マキを突き飛ばした。 「っ、イテぇよ」  受け身も取れず、肩から倒れたマキが声を上げるのも無視して、正面に回り込むと柔らかく艶のある黒髪を鷲掴みにした。 「うぁっ…」 「口開けろよ。喉の奥まで犯されんの好きだろ」  切れ長だけどハッキリしたマキの瞳がオレを睨む。たまらない。それだけで一回出そう。  マキが言われた通りに口を開けて赤い舌を出す。それが当然とばかりに、オレのものを受け入れる。最初は先端を丁寧に舐め、徐々に口腔に含む。形をなぞるように丁寧なクセに、オレを見上げる眼は挑戦的で、もっと酷くしてやりたくなる。  一体どこまでやればコイツは本気で泣くのか?  両手で髪を掴んで、一気に奥まで突っ込んでみる。ゴフッと、苦しげな嗚咽を漏らし、眉根を寄せてギュッと目を瞑るマキの、長い睫毛に涙の水滴が伝う。  こんなことされたら、オレなら相手のちんこ噛みちぎってやるのに。 「喉締めて、マキ」 「んっ…ゔ……」  オレが言ったことを、忠実に守ろうとしているのがわかる。愛しい。でも多分、マキはオレの為にそうしてるんじゃない。後々自分が楽しむ為だ。尽くした方が、後々リターンが大きいとわかっていてやってるんだ。  それでもいい。それでも、オレはマキを愛しているから。  それに、オレたちには思いやりのあるセックスが性に合わないとわかったばかりだ。  物足りなくてつまらないセックスはしない。気恥ずかしさに耐えられないから。 「マキ、一回出すな。ちゃんと飲めよ」  相変わらず苦しそうに汚い声を上げるマキの喉に、根本まで押し込んで精液を注ぐ。ブルブル全身を震わせたマキが、ギュッと目を瞑って喉を鳴らし、オレの出したものを飲み込んだ。 「舐めて」 「…ん…ふぁ…ぁむ……」  上目遣いであざとさを出しつつ、全体を舐めとり、チュッと音を立てて離れる。ワザと煽るのも忘れないところがマキクオリティだ。  掴んでいた髪を離すと、支えを失った上体が崩れ、お尻を突き出す格好になる。後ろに回り、浴衣の裾を巻くって下着を下げ、現れた尻を力任せに引っ叩いた。 「アアッ!?痛いっ」  本気で痛がってるのかはよくわからないが、とりあえずオレは叩くのが趣味になりつつある。 「ユっ、ユキ!イタイっ、も、ヤメッ」  マキの声にふと我に返る。真っ赤な尻が痛々しい。ただ、ヤメテと言う割にモジモジと足を擦り付け、物欲しげに尻を揺らしているのだから仕方ないヤツだ。  どうせ触ってないマキ自身も、はしたなくガマン汁を垂らしているに決まってる。  オレはマキの尻に唾液を垂らし、それだけでビクビク震えるのも無視して入り口を撫で回す。露天風呂で散々拡げた穴は、物欲しげに開閉を繰り返している。 「はぁ…早く挿れろよ…」 「言われなくてもそうする」  答えると同時に、勢いをつけて奥までねじ込んでやった。 「〜〜〜〜ッぁあ!」  縛られた手に力が入るのが見える。中途半端にはだけた浴衣から覗く肌に、縄が擦れて跡を刻む。その下に、食事の時に話題にしたピアスの跡が見え、なんとなく苦しい気分になった。 「マキ…オレもお前にピアス開けたいって言ったら、どうする?」  腰を打ち付けながら、気がつけばそんなことを言っていた。 「はっ…ああ?…好きに、しろよ……」  二番煎じだとは思う。でも、オレはマキが今までに受けた仕打ちを、全部自分で上塗りしたい。  本当にやるかは、おいておくとして。 「マキ…好きっ…!」 「んっ……ふ、あぅっ…ん、んぅ……」  複雑に巻きつく縄を掴んで引く。喘ぎ声というより苦しそうな声を上げているが、加減も考えずに腸壁を抉り続ける。そうすると中がより締まって良い。  マキの身体が震え、イッたのがわかった。でも、オレはまだイけそうにない。 「もっ、今イッたからっ!!止まってっ、おねが、止まってぇ!!」 「ムリだって」 「ぅあっ!?あっ、ああ、ンヒ……っあ!!」 「お前が死んでもやめねぇから」  スピードを落とすことなく、深く深く押し付けるように動く。マキの中がウネウネと動き、入口が絞り取ろうと締まる。  もう声も出ないマキは、必死に呼吸だけを繰り返していてかわいそうだ。  ドクンと脈打つオレ自身が弾ける。マキの中に全て注ぎ、それでも治らないオレは、マキのことが好き過ぎて大変だ。 「マキ、もっかいシてい?」  止めるつもりは全くないが、一応聞いてみる。が、返事が無い。どうやら気絶したらしい。  まったく、体力ないなぁコイツ。  オレはまた腰を動かしながら、どうやって起こそうか考えた。

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