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プラセボ効果だからぁ!!2

☆  エリカちゃんの店に入ると、客の声の中に、マキの狂ったような笑い声が混ざっているのに気付いた。 「ユキちゃん!!なんとかしてちょうだいよ!!」  オレに気付いたエリカちゃんが、犬みたいに床を這いずり回るマキを追い払いながら言った。 「ど、どういうこと?」  なんだこれ?と、自分の目を疑った。セックス以外ではプライドの高いツンとしたマキが、ヘラヘラ笑いながら(なんでか後ろ手に縛られていた)床に座っている。 「ユキっ!!」  マキがオレに気付いて、さっと立ち上がると駆け寄ってくる。手が縛られているから、途中でバランスを崩して倒れるのを、慌てて抱き留めた。 「マキ?」  アルコールの匂いはそんなにしない。でも変だ。顔を覗き込む。 「ブッ!」  マキの唇がすかさずオレの口を塞いだ。受け身であることが多いのに、その深いキスはキスというか、お腹すいた犬が久しぶりの餌に食らいつくような感じだった。 「ふ、んん…むぁ……」  慌てて引き剥がす。肩を支えて距離を取ると、マキの顔を見た。目がトロンと据わっていて、口の端からダラシなく唾液をしたたらせ、心なしか呼吸が早い。 「ユキ、俺なんかプラセボ効果だからぁ…はやくヤりたい」 「何言ってのコイツ?」  首を傾げるオレに、エリカちゃんが盛大なため息を吐き出して答える。 「与太さんがバイアグラ飲ませたみたいなんだけど。どう考えてもバイアグラじゃないわよね……」  一発なぐってやろうかと思ったが、今は空きあらば唇を狙ってくるマキを止めるので精一杯だ。  当事者である与太さんは、腹を抱えて笑っている。 「その瓶、どこで手に入れたのよ?」  エリカちゃんが怖い顔で聞いたのに対し、与太さんは肩を竦めて答える。 「隣町のゲイバーや。ほれ、この前摘発されたとこ」 「あっ!!!!」  と、エリカちゃんが急に叫んだ。 「アンタ!そこ、クスリ売ってるってので摘発されたのよ!?そんなとこで買ったものマキちゃんに飲ませないでよ!!」 「せやかて、ホンマモン言うてうっとってんもん。相手に飲ましたらインランなる言うて。試したなるやん」 「ホンマモンって、本当にヤバいクスリ入ってたみたいじゃない!そんなもん自分で試しなさいよ!!」 「自分飲んでもしゃあないやろ。俺ぁタチセンや」 「おバカッ!!!!」  なんてこった。  インランってより、ただのアホになってるように見えるんだが。 「とにかく連れて帰って!しばらく家から出しちゃダメよ!?」  エリカちゃんがうんざりした顔で言った。 「わ、わかった…」  つか、これ連れて帰るのか、と、オレの手をベロベロ舐め回すマキを見る。なんだコイツ。  仕方ないなぁとマキの首根っこを掴んで、適当に上着を着せて店を出た。  アパートへの道のりは、マジでうんざりしたから割愛する。  ともかくオレは最速でアパートへたどり着き、マキの腕の拘束をといてからベッドに転がした。 「お前アホだなぁ。他人から貰ったもん飲むなよ」 「ええ?なんて?他人のちんぽ飲むな?」 「はぁあああ……」  ダメだこりゃ。  マキはニヤニヤ笑いながら、着ていたものを全部脱ぎ捨て、ベッドの前に立ったオレをトロンとした目で見上げる。  マキの下着はぐちゃぐちゃに濡れていて、マキの性器は、治らないのかヒクヒクと切なそうに揺れている。 「ユキのちんこくれよ」 「オレ頭痛いんだけど」  もちろんマキの奇行にたいしての頭痛が大きい。 「俺はちんこ痛い」  やれやれと思いながら、強制的にそういう気分にさせられているマキがかわいそうで、仕方なく(本当はクッソ興奮した)相手してやるかと思った。 「さっさとスッキリして寝ろよ」 「はあ?この俺が簡単に満足してたまるかよ?今こんなにいい気分なのに」 「ああそう。じゃあ泣き叫んで逃げようとしても離さねぇからな」 「んなことなるわけないでしょ」  本当にアホだなぁと思いながらも、マキの潤んだ、でも挑戦的な目に、オレの嗜虐心に火が付く。  どうせ痛いのが希望だろ、とオレが手を振り上げると、ビクッと身を震わせながらも期待に眼を輝かせるマキが可愛すぎてヤバい。  一度手を出すと、手加減するのを忘れてしまう。でもマキは手加減するとわかるみたいで、だからオレは遠慮しない。  バシィィンと、頬を叩く度に、痛いと言って先走りを垂らすマキが愛しい。 「イッ、やぁあっ!イタぁ…はぁ、ん」 「ほらケツこっち向けろよ。ブチ込んでやるからさぁ」  素直に後ろを向くマキの尻を叩きながら、ローションを穴に突っ込む。半分以上入った、ドロっとした中身を一気に押入れると、マキが背をそらしてイった。 「はっ…ぁあ、も、ユキの挿れて!!」 「わかったって」  ローションでドロドロのそこに、自分のをあてがい、ゆっくりと入口を押し広げる。 「うぁ、ぁ…なんで、ぇ?はやく、奥来てっ」  待ちきれない、と腰を揺らすマキ可愛い。ずっといじめていたい。 「おねだりしろよ」 「ん…ふぁ…、ユキのちんこで、俺の奥突いてっ、めちゃくちゃにして、くださいっ」 「可愛い」  言われた通り、オレはズブズブとマキの中へ侵入する。挿れただけでまたイったようで、ガクガク震えながらオレを締め付けてくる。  クスリのせいでいつもより感度がいいようだ。 「いやぁ、奥っ!ああっ、も、またイッちゃああっ!」 「好きなだけイケよ」  グジュグジュとローションが卑猥な音を立て、オレのがマキの中をこれでもかと責め立てる。無防備に震える背中へ歯を立てると、その痛みにまた白濁を撒き散らしたマキがガクッと腕を折る。 「もうへばったのか?オレはまだまだなんだけど」 「んっ、ああ、イッ、イってるっ!あああっ、はぁ」 「頑張れマキ」 「はぁーっ、ああ!?も、そこいい、きもちからぁ!」  ぐったりしたマキに上を向かせ、腰を高く持ち上がる。 「マキ、見て。オレのちんこがマキの穴に入ってんの。ちゃんと見てろよ」  ワザとマキに見せつけるように、ゆっくり出し入れしてやると、マキは赤い顔をしながらその様子をしっかり見ていた。変態だ。 「ああ、ユキの、がぁっ、んぁあ」 「エロ。マジで最高」 「んふ、ぅぅ…も、また出るっ」  ビュルっと、だいぶ量は減ったが、飛び散った精液がマキの顔にかかった。 「自分で自分にかけてやんの」  オレがそう言うと、マキがニヤニヤして顔にかかった自分のを舐めた。エロい。最高。 「マズ」 「そりゃそうだろ」  そんなエロい子にはお仕置きだ。  なんて変態な事を考えながら、オレは頭痛も忘れて夢中で腰を振りまくった。 「マキ、一回出すから漏らすなよ」  そう言ってからこれでもかと奥に当てる。マキは呼吸するので精一杯なようで、頭を左右に振りながら、一生懸命快感に耐えていた。  熱いものを放つと、マキも出さずにイったようで、閉じられない口から唾液を垂らしてガクガクと震える。  それを眺めながら、オレはまた腰を動かし、治らない自分のものを容赦なく打ち付けた。 「あ…ぁう……ん、あぁ」 「マキ、まだ寝ちゃダメだぜ」  横をむかせて狙いを変えながら動く。マキの身体は柔らかいから、無茶苦茶に体勢を変えても問題ない。 「うぐ、ふっ…も、抜いて…ムリ」 「イヤ」  オレが二回目の熱を放つと、マキが泣き出した。オレ的にはこっからが楽しいところで、真剣に泣き喚いても止めるつもりはない。 「死ぬって…も、ヤメ、てっ」 「セックスで死にはしないよ」 「いやぁ……ぁぁ…」  中イキキツそう。と思いはしても、ヘロッたマキは本当に可愛くて、どうしてもやめてあげられない。  ビクビクと震え、ガクリと力が抜けたのを感じる。気絶したようだ。  ぐちゃぐちゃに濡れた顔を眺めながら、オレはそのあと二回マキの中に出した。 ★ 「最悪だ……」  俺は昨日、エリカちゃんのちんこをむんずと掴んでしまった。もちろん服の上からだったけど、今思い出しても吐き気がする。  そのせいじゃないが、朝から死ぬほど吐いた。  お陰で一日中トイレで過ごすハメになった。  気分がとてつもなく悪い。目眩がして頭も痛い。指先が痺れてうまくタバコも吸えない。 「マキ、水いる?」 「いらない」  トイレの前に座り込む俺に、ユキが心配そうに声をかけてくれるが、それも微妙にウザい。もう、俺ダメだ。今日はとことんイヤなヤツだ。 「与太さんしばらく出禁だってさ」 「そりゃそうだろ。ついでに俺も出禁にして欲しい。恥ずかし過ぎてもう顔出せない」  割と全部覚えてるってのがタチ悪い。死にたい。 「何がプラセボ効果だ!関係ねぇじゃねぇか!」 「ま、まあ、そらマジでクスリだったわけだからな」 「クソッ!死にたい……」  惨めすぎるだろ。 「俺は絶対クスリはやらない。決めた」 「決めたっていうか、やっちゃダメなんだが」 「あと他人に貰ったものは口に入れない」 「賢い判断だが、オレの出したもんは飲めよ!」 「死ね!!!!」  神様…タイムマシーンを下さい。  昨日の俺を殺してでも止めてください。  などと神頼みするくらいには恥ずかし過ぎた。  俺は悪くないのに……  ツラ。

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