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第4話
ラップフィルムのハート
結局、顔も見ないで出ちゃったけど。
ま、あの店は無いな。
俺の本能が、無理無理って告げてるぜ!
店に戻ると、常連さん達から何故か大歓迎を受けた。
いゃ~、これ、この空気よ!
ガサツでし、かまってちゃんだし、もう、放置が辛いw
「カイシデン、戻りましたー!」
これ、老若男女、知ってんだよなー
ガン○ム、俺もリアルタイムでは見てないけど、好きだったしね。
「マスター、カーディナルお願いします!」
「カイ、仕事しないのか?」
「え?いいの?
着替えてくるね!」
やったー、お客より店員のがいいよ。
お客さんに飲ませて貰えるもん。
カラン♪
いらっしゃいませー
見るとやっぱり一見さん。
俺の安寧の為には、全ての客がゲイかバイしかあり得ない。
「お一人様ですか?」
俺が聞いて、マスターが案内する。
カウンターについちゃったよ。
迷子系はボックス席がいいんだけどなー
相手しなくていいじゃん。
「なんに致しましょう?」
にこやかに接客中ー
「君、お店で彼に色目つかってたよね。
ブスがさー
キモいし、ほんと死ねば?」
「は?」
一瞬、何言われたかわからんかった。
だってさ、ブスなのは自覚してるし、普通に生きてんだけど。
ゲイにモテないから、魔法使い目指して、賢者まで行く予定よ、俺。
「誰かとお間違いじゃないですか?」
「お前だよ、お前!
カーディナルとかしってて頼んだんだろ?」
「え?えーっと、たんに綺麗だから頼むんですけど。」
マジわからん。
カーディナル頼むやつなんて、いくらでもいるだろうよ。
「こちらに仕事に入る前に、飲んだことを言われてらっしゃいます?」
さっきの居心地の悪い店で頼んだけどな。
色目も何も、スマホさんしか相手にしてませんがな。
パラレルワールドの話なら、違う店にしてくれよー!
「そうだよ、ブス!」
「申し訳ございません、あのお店には二度と行きませんし、お客様もこちらには二度と来られませんようにお願いしますね。」
にこやかにお帰り願う。
別に、行かなくていいし、参ったねー。
「客じゃねーな。
座って営業妨害しただけだよな?w」
悪ノリのお客さんに、めっちゃ正論ブッ込まれましたー!w
いいよ!いいよー!
「マスター、外行くわ。
ほら、お前もだよ。」
「な!」
うーん、この人、見たこと無いなー。
悪ノリのお客さんに感謝!
引きずり出されて、5分くらいしたら、戻ってきた。
「ありがとうございます。」
「すまなかったな、カイが色目とか有り得んのにな。」
マスターが何気に酷い!
色目って、こう、瞬きをパチパチする感じ?で、チロチロ見ちゃうんでしょ?
やって見せたら、盛大にオェーされた。
自分でもオェーだわ。
「お前どこで飲んでたんだよw
しかも、色目って」
「繁華街外れたとこにあるゲイバー?」
お高いとこ!
俺の財布じゃ次はいけないところ!
「カーディナルはマスターに作って貰ってから、最近覚えたんですよねー」
「マスターも悪いやつだなww」
え?なになに?何があるの?
「カイ、それ、その店で頼むなよ。
優しい嘘ってカクテル言葉で、一夜限りを探してるって、言う意味であそこは使ってるんだよ」
マジで?知らんかった!
カクテル言葉、スゲーな、おい!
「魔法使いになれなくなっちゃう!
やだやだ、ランプからかっこいい彼氏出さなきゃいけないのに!」
最後は、ランプから彼氏が出て来なーいってネタで終わりましたとさ。
「カイは、世間からすりゃ、可愛いんだよな。
バイには受け、いいだろ?w」
まあ、たしかに、かわうぃーねー言われんのはバイでも女寄りのバイ。
まあ、少ないけどな!
なんか今夜はどうしちゃったんだろ?
波乱の予感?
はしねーなーww
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