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第6話
アルミ箔のハート
マスター早く来てー!
怖いー!
あ!そだ、彼氏のフリしてもらうとかどよ?
いやいやいやいや!
ビッチ設定できちゃう!
うぇーん
てか、マスターどこにいたんだろ?
もしかして、彼氏さんとデートとか、♡中とかだったら、相手に今度こそボコられるΣ(゚д゚lll)
てか、遅い!
いや、まだ、数分も経ってねー!
パニパニだよ!
はーやーくー!
あ、俺?
今、アパートから離れて、近くの公園。
滑り台の中。
だって、怖いんだよ。
幽霊とかそっちの心配より、生きてる人間な!
いまは、そっち怖いって!
ちゃんちゃかちゃかちゃか、ちゃんちゃん♪
能天気に鳴る笑点の着信音にビクーッてなった。
マスターかと思いきや、悪ノリさん?
なんで、このタイミングで?
出るor出ない
出ない!
ダメ!
もう、誰とも関わらない!
やだやだやだ!
クレーマーに聞かれたら嫌なので、バイブっす。
鳴るたびに拒否!
×をめっちゃ連打。
あ、充電ヤバイ。
詰んだかも。
寒い、けどこっから出れない。
もう、ここで夜明かしする。
決めた。
生きてない怖い人きても、動かないぞ!
可愛い身長ゆーても170あるし!
四捨五入だけどな!
体重だって、59キロあるしな!
ま、負けないんだから!
疲れた。
もう、いいや。
やな事ばっかりだ。
うまくいかねーな。
明日は不動産屋回ろう。
あと、3時間ほどで夜明けだ。
明かりがあるってホッとする。
なんだろうな、これ。
俺のアパート知ってるの、マスターくらいなんだよな。
なんか、腑に落ちない。
カーディナルを教えてくれたのも、マスター。
なんだ、これ、気持ち悪い。
でも、あの店は偶然。
たまたま、だ。
マスター、来ないな。
悪ノリさん、なんで電話来たんだろう?
出ればよかったかな?
明日、逃げる準備しよう。
あと1週間で出来るかなー。
眠くて、段々、頭が回らなくなって来た。
マスター、この公園知らなかったわ。
でも、充電ないし。
もう、いっかなー。
ウトウトしては覚醒するの繰り返しで、なんとか夜明けまで頑張れた。
そろそろ、いないよな?
体がガキガキになっていて、痛む。
出て、うーんて体を伸ばす。
気持ち的には、もう、逃げる一択だった。
何から?
わかんねー。
アパートの前は、誰もいなかった。
よしよし、今のうちだ。
でも、また来たら?
恐いことばっかりカンガエルノヨクナイ!
取り合えず、充電
ゼロだとさ、なかなか起動しないんだよな。
その間にPC立ち上げて、と。
田舎暮らしサイトを探す。
いいことだらけの誘い文句が、公式の自治体から出てる。
就活もあるらしい。
いいね!
田舎暮らし、だけど。
恐いことクチコミもみつけちゃったよ((((;゜Д゜)))
ごみ捨てハブられるとか、洗濯物チェックとか、ダメコレ!
別荘地とか移住者地域ならいけるんかなぁ。
普通に地方都市周辺にしよう。
ゲイばれしてもなんとかなりそう。
あ、スマホに電源入るかな?
リンゴマークでた。
着歴やばい
マスターからは二度と入ってて、あとは、悪ノリさんから10回以上あった。
なにこれ。
どういうこと?
マスターにはすぐに電話した。
留守電だったけど、公園で充電なくなって夜明かししたって。
そして、昨日で辞めることも伝えた。
正確には留守電に残しただけだけど。
不義理だとは思うけど、なんだか、ね。
悪ノリさんには、ショートメールにした。
電話出られなくてすみませんって、それだけにした。
明日からカプセルに泊まって、別な土地を探す。
大して無い荷物でもいい金額にはなる。
売れるものはテレビから、冷蔵庫から、洗濯機も電子レンジも、PCもすべて。
無くても生きていけるから。
洋服類はさすがに必要だから、スーツケース2個分。
スーツも数着、コインロッカーのお世話になってネカフェでもいいや。
これを一日でやった。
エライ!俺!
ちゃんちゃんちゃかちゃか、ちゃんちゃん♪
びっくったー、!Σ( ̄□ ̄;)
悪ノリさんから、だ。
「もしもし?」
「おい!無事か?」
え?
「あ、昨日のクレーマーのこと聞いてたんですか?」
「あ、あぁ…
無事か。」
なんか、意外と優しいんか?
ちょっと、嬉しいけど。
「ありがとうございます。
お店はしばらく、お休みしますから、また、今度。」
そう言って切った。
本当は休みじゃないけどね。
残したものはないか、確認した。
ゴミは管理会社にお願いしよう。
敷金から差し引いてくれるだろうし。
部屋を後にした。
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