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第7話
迷彩布のハート
あと数日の期間満了前に、有給を使った。
派遣会社も辞める予定だし、いいよな。
ネカフェで地方都市の不動産情報をかき集め、しばらくはまた、派遣をしようと決めた。
もし、追いかけて来たら?
ないないない!w
ドラマじゃあるまいし、犯罪に巻き込まれたわけじゃなし。
生活に慣れたら正社員を探す、これでいく!
土地勘もないけど、山谷の地域よりは平地が多いところがいいよな?
とりあえず!
北あたりで探してみる。
バイトでもいいし。
色々悩むより、今は逃げる事だけだし。
都下でも、いいか。
とか、段々ヘタレな選択が。
だってさ、仕事探すなら都内のが有利だし、今までも、東京でしか生きてないしなー
神奈川辺りでもいいか、考えたら、いまの生活圏変えるだけでだいぶ違うよな!
あのオウ○の指名手配犯も長い間潜伏してたんだし!
ゲイバーとかじゃなくて、普通の居酒屋でバイトしながらでいいや。
介護職の夜勤とか色々あるし!
なんか目の前明るくなって来た!
あ、家電、売っちまったわ。
レオ○レス一択になった。
ネカフェなんで、バイブにしてたら、マスターから着信が。
怖いけど、出るしかない。
ネカフェだから、外に出てかけなおした。
「カイ!
どうしたんだ、一体?」
「あの、アパート、帰れないし、店にも迷惑かかるし、怖いから。」
正直に告げた。
「そう、か。
悪かった。」
「え?なにが?」
「実は、賭けをしていて、悪ノリが過ぎた。
悪ノリを止めたけど、お前が抜けた間に話が賭けに変わって、あそこにいた常連たちと、カイの処女童貞を誰が何日で奪えるかって。」
「あ、はは、は。
そっか、またまた、悪い病気の弊害か、ははは。」
気にする事無かったし、誰も助けてなんかくれる気はなくて、賭けの結果がしりたかったんか。
「俺だって、プライドも好みもあるんだよ!
ふざけんな!
ブスでもな、生きてんだよ!
夢見るだけで、誰かに迷惑かけたかよ?!
ただ、生きて、泣くより笑ってたいって、ダメなんかよ?
お前らの勝手な基準でブスブス言われる気持ち考えたんかよ!
笑って話し合わせて、傷も苦しいのも隠して、持ってかれるだけの人生が嫌だっていったら、いけ、ない、のかよ。」
涙が止まらなかった。
笑われてナンボな芸人だって、きっと仕事じゃなきゃって思うこといっぱいあるさ。
だけどな、生きてるから頑張るしかないじゃんかよ。
もう、ほんとやだ。
「すまん、本当にすまなかった。
店に、来てくれないか?」
「は、なに?
いったら、強姦 されちゃうの?w
で、ブスな俺の処女をお金払って貫通してやったとか、粗チンの童貞卒業とか?
笑えるんだけど。」
「違う!絶対違う!
謝らせてくれ。」
「もう、いいよ。
ブスに生まれたのが運の尽きだったんだから。」
「違う、カイはブスじゃない!
だから、来てくれ、謝らせてくれ!」
「自分らのした事に、気持ちを軽くしたいだけでしょ。
それ、謝罪じゃないから。」
電話を切った。
ネカフェの個室に戻って、声を殺して泣いた。
俺は、また、間違ったようだ。
もう、何も考えたくなくて、多分ひどい顔してたと思うけど、ネカフェを出た。
コインロッカーに預けていた荷物をとりあえず、アパートに戻して、何もないゴミだけの部屋で、とにかく横になった。
一日だけの主人公が舞台から降りた気分だった。
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