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第9話
氷のハート
号泣しながら、もう、来ないで、関わらないで、て
自分でもびっくりするくらい、震えてた。
怖い
こわい
コワイ
ゲイでブスってそんなに悪いこと?
誰かに好きって言ったりしてないじゃん!
若い子ならまだしも、もう27歳で魔法使いになるって決めたじゃん!
なにが、イケナイノ?
「カイ、ごめん!
本当にごめんなさい。
落ち着いて、聞いて、な?」
「わ、かっ、た」
殺されたりするんだろうか。
こんなに、辛い人生なら、もう、いらないや。
こんな時思ったのは、俺カイじゃねーよ、だった。
俺、もう、本当にいいや。
魔法使いになろうが、賢者だろうが、こんなに、生きにくいなんて思わなかった。
楽しく生きたかった。
幸せだと思える瞬間があれば思い出でも生きていく自信になったはずだったのに。
きっと、誰かには迷惑だったんだな。
悪ノリさんに、別な個室に連れて行かれた。
そこには、マスター、クレーマー、もう2人ほど、常連さんがいた。
なんだ、クレーマー繋がってたんかw
で、なに?
酔っ払いだし、聞かないよ。
聞いても覚えてないよ。
覚えてないしな、多分。
「すみませんでした。
カイくんをネタに賭けにしたのは本当に、悪乗りが過ぎた。
しかも、けしかけて、アパートに帰れなくなる程とは思わなかった。
申し訳ない。」
「マスターも、止めたんだけど、ゲイでって面白がった。
無理やりにマスターも取り込んだんだ。」
「あの時、まさか、こんな事だとは知らずに、依頼を受けて、ごめんなさい。」
三者三様謝罪をされた。
謝りゃ許されんのかよ。
イジメが無くならない理由が分かった気がした。
「わかりました。
皆さんの謝罪を受けいるます。」
にっこり泣き笑いして、受け入れた風にした。
逃げ一択!
「カイ、俺はお前が好きだ。
だから、俺は、お前にブスだって言い続けて、ほかの誰かに渡したくなかった。
マスターと牽制しあってた。」
はあ?牽制してほかの誰かにやらせちゃうの、信じられる訳ないじゃんw
「うん、わかった。
俺、バカにされるのも程があるわ」
ニコニコしながら、殺されてバラバラで魚の餌でもいいわ、と。
「俺さ、誰かに迷惑かけた?
魔法使い目指すって決めたよな?」
「だから、俺が、カイの彼氏になりたいんだよ!」
悪ノリさん。
「まて、カイは俺んとこの子で、俺が抱くって決めてる」
マスター
あのさ、今更だけど、俺どっか知らない人に貫通させられるとこじゃんよ?
俺なら好きな人の童貞処女いただきたいわ!
信用できる訳ないじゃん
なに言ってんのこの気持ち悪い人たち。
とりあえず、うまいことかわして、逃げ一択で。
頭悪い連中をどうにかまかないとな。
これ、マジでアパート帰れねーじゃん
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