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第8話 春日部 太一
「智樹君、どうしてダメなんだ?この前の事、怒ってるのか?」
ホテルのスイートルームの柔らかな絨毯に男は膝をつき立膝をすると、その男を見下ろすように立つ智樹の足にしがみついている。
智樹の足にしがみつき、心配そうに智樹を下から見上げるその男は、有名若手実業家のCEO、春日部 太一 だ。
「この前の事?」
可愛らしい顔で微笑んだ後、智樹が上から冷たい目で太一を見下ろすと、
「俺が急に逢いたいっていったから…」
太一は許しを乞うように、智樹を見上げた。
「そんな事で怒ったりしない。太一が逢いたいなんて言うのは、よっぽどの事があったんだろ?だから怒ってない」
太一は28才。
智樹は年上で若手希望の実業家の太一に対し、まるで同年代に話すような口調で話しかけると、太一は嬉しそうに微笑む。
太一は『痛みに弱いドM』
これは俺の前だけ見せる姿で、俺が馴れ馴れしく冷たい態度を取って、時々甘くすると喜ぶんだ。
「でも、だったらどうして、しばらく逢えない?」
太一が智樹を抱きしめようとすると、智樹はするりとその腕から逃げた。
「だって俺と会っても、セッ○スできないよ」
智樹は雅樹と一週間セッ○スしないって約束した。
雅樹は太一達の事は知らないけど、俺は雅樹との約束を守るため、誰ともセッ○スしないと決めた。
だから俺は誰とも会わない。
智樹は焦らすようにワイシャツの上から太一の胸を人差し指でツーっと撫でると、太一はゾクリと背中を震わせ、スラックスの中の楔を硬くさせている。
「俺はセッ○スしたくて智樹君に逢いたいんじゃない…」
太一は最大限の理性を振るい立たせて、智樹の瞳を見た。
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