9 / 87
第9話 契約 ①
本当は襲いかかりたいくせに…
でもそんなことしたら…
「本当に?楔 こんなに硬くして、俺を押し倒してキスしたそうにしてのに?」
智樹はスラックスの上から太一の楔を掌の中に包み込む。
「っく……っ……」
太一の楔は、硬くなりすぎて痛くなっている。
「俺は…ただ智樹君のそばに…、いたいんだ…。それに…キスは絶対しない…」
奥歯を噛み締め太一が顔を顰める。
「どうして?」
わかりきった事を智樹が太一に聞いた。
「智樹君の唇にキスをしない。生で智樹君の中に挿れない。ゴムをしてても中に出さない。恋人になって欲しいと言わない…。束縛しない。詮索もしない…。これが智樹君と会うための約束…だから……」
苦しそうに太一が智樹との約束を口にする。
この約束を守らないと、もう智樹とは絶対に会えなくなる。
だから太一は智樹から放たれている、微かなオメガフェロモンの香りにも必死に耐えていた。
「もう一つ、1番大事な事忘れてる」
直樹が首に巻きつけているチョーカーを指さす。
「頸を噛もうとしない…」
苦しそうに太一が呟いた。
ともだちにシェアしよう!