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第12話 早見 徹 ①

太一が名残惜しそうに帰ったホテルのスートルーム。 「早見さん。もういいですよ」 智樹が呼ぶと、智樹がいる隣りの部屋のドア越しにいた男性が部屋に入ってきた。 その男性はオーダーメイドのような仕立てのいいスーツを着、スラッと背が高く爽やかな27才ぐらいのイケメンだ。 「早見さん。今日も…、いえ、いつも、ありがとうございます」 智樹が頭を下げようとすると、早見は慌てて智樹の肩を掴んだ。 「智樹君、そんな事やめてくれないか?俺は好きでやってる事だから…」 切なそうに早見が智樹を見つめる。 「でも嫌でしょ?俺が他の男に抱きしめられている現場を、隣の部屋から見てるのは…」 悲しそうな表情で智樹が早見から目を逸らす。 早見さんとは特に何もないけど、念には念をいれないと。 「そんな事ないよ。相手が智樹君に変な事をしないように見張るのが、智樹君専属の弁護士兼ボディーガードである俺の仕事だから…」 「早見さん…」 逸らした顔を、智樹は早見の方へ向き直した。

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