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第38話 モヤモヤ? ②

「よく言われるって言っても、幸樹にだけどね」 「え?幸樹兄さんに?」 智樹の気持ちが少し軽くなった。 おかしい… 絶対におかしい… 昔から知ってる幸樹兄さんに言われてるって事をを知ったら、モヤモヤが治った。 早見さんが俺から離れていかないか心配になる。 俺を守ってくれる人がいなくなるかと、心配になる… こんな時まで自分のことばかり… 「そのジャージ上下とスニーカー、同じメーカーですよね。俺も好きなんです。まさか早見さんもとは思ってなかったです」 智樹はモヤモヤを考えない様にと、話題を変える。 「智樹君、好きなんだ。お洒落な智樹君と同じメーカー着てるって、嬉しいよ」 早見が笑う。 「どうしてですか?」 「だって俺、ファッションの事よくわからないから、いつも同じメーカーで一式揃えるぐらいしかしてない」 運転中の早見が苦笑いした。 「でも、スーツはオーダーですよね?」 いつも早見さんは仕立てのいいスーツを着ている。 革靴だってネクタイだって、おしゃれでいいものだ。 「あれは、スーツのオーダーメイド店をしてる知り合いが、全部見たたてくれてるから」 なるほど。 どうりでいいわけだ。 「専門的な知識のあるお知り合いがいるのって、いいですよね」 智樹が言うと、 「単に高い物、買わされてるだけだよ」 また早見は苦笑した。

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