早見の車が停まったのは、24時間営業のファミレス。 店内に入ると、全国的どこも同じであろうレイアウトに、接客してくれた女性のセリフも同じようだ。 「好きなのどうぞ」 早見がメニューを智樹に渡す。 あ…、俺、財布持ってきてないや。 電子マネーの事を思い出し、智樹はスマホを探すが、スマホも持ってきていない。 これじゃあ何も頼めないか… 「やっぱり俺いいです」 智樹が早見にメニューを返した。 「財布、持ってないんだろ？いいよ、何でも頼んで。それに俺が智樹君に払わすと思った？」 早見は『そう思われてたら、心外だな』と付け加え、もう一度智樹にメニューを渡す。 「じゃあ遠慮なく」 夕飯を食べていなかった智樹は、本当に遠慮なく 注文した。 ハンバーグのパンセット、 グラタン、 ガーリックトースト、 夕食で食べられなかったビーフシチュー。 それに食後のチョコレートケーキとフルーツパフェ。 「昔から思ってたけど、その小さな体に、よくそんなに入るね。しかもパンセットにガーリックトーストって、パン重なってる」 智樹からメニューを受け取った早見は、智樹が頼んだメニューの多さに驚いている。