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第41話 ファミレス ③
「早見さんは何にするんですか?」
メニューを見ている早見に智樹が問いかけると、
「コーヒーと、智樹君と同じフルーツパフェ」
早見が決めたメニューは、智樹にとって意外なものだった。
「早見さんも、甘い物食べられるんですか?」
コーヒーはいつもブラックなのに。
「ケーキとかパフェとか好きだよ。新しい店見つけたら、行ってみたいとも思うし。でも、男1人で店に入る勇気がない」
早見が困った顔をすると、
「じゃあ、俺と行きませんか?最近できたケーキ屋あるんです。俺もそこに行きたいと思ってて。ね、行きましょうって」
体を乗り出し、智樹が早見を誘う。
「そこってこの前智樹君が服買いに行ってた店の、裏手?」
早見の目がキラキラと輝く。
「そう‼︎そこです。早見さんもご存知だったんですね」
智樹が考えている店を、早見が知っていることが、智樹には嬉しかった。
「知ってる。あそこ有名店だから」
「そこ行きましょうよ。ね」
智樹が早見の手を握り頼むと、
「じゃあ、今度学校の帰りにでも3人で行く?」
早見が言った。
3人?
それって、俺と早見さんと…雅樹のこと?
なるべく雅樹には知られたくない。
早見さんの前での俺を…
見せたくない。
作った俺……
「どうした?」
早見は顔色が曇った智樹を心配した。
「いえ…。3人で…行きましょう…」
智樹は無理に笑ってみせた。
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