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第42話 ファミレス ④

智樹が頼んだメニューがテーブルに並ぶ。  それはテーブルに乗りきらず、誰もいない後ろのテーブルに乗らなかった料理を置いてもらったほどだ。 そんな大量のメニューを小柄な智樹がペロッと食べたのは、早見だけではなく、店の従業員も驚いているようだった。 「ご馳走馬でした。美味しかったです」 レジで店員と早見に智樹は、笑みと共に礼を言う。 店を出て車に乗る際、早見はまた智樹が乗る助手席のドアを開けた。 「ありがとうございます」 今まで車に乗るとき、いつも早見が智樹より先回りし、ドアを開けてくれていたので、本当は早見の行動にはな慣れているはずだったが、いつもと違う車にいつもと違う早見の姿。 そのいつもと違う感覚に、智樹は少し照れていた。 「智樹君は、いつも礼儀正しいね」 早見は智樹を褒めながら車の鍵をかける。 「いえ、そんな…」 智樹は謙遜した風だったが、心の中では 俺の場合は『礼儀正しい』というより、『計算高い』の方が似合ってる。 自分の事を卑下していた。

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