41 / 87
第42話 ファミレス ④
智樹が頼んだメニューがテーブルに並ぶ。
それはテーブルに乗りきらず、誰もいない後ろのテーブルに乗らなかった料理を置いてもらったほどだ。
そんな大量のメニューを小柄な智樹がペロッと食べたのは、早見だけではなく、店の従業員も驚いているようだった。
「ご馳走馬でした。美味しかったです」
レジで店員と早見に智樹は、笑みと共に礼を言う。
店を出て車に乗る際、早見はまた智樹が乗る助手席のドアを開けた。
「ありがとうございます」
今まで車に乗るとき、いつも早見が智樹より先回りし、ドアを開けてくれていたので、本当は早見の行動にはな慣れているはずだったが、いつもと違う車にいつもと違う早見の姿。
そのいつもと違う感覚に、智樹は少し照れていた。
「智樹君は、いつも礼儀正しいね」
早見は智樹を褒めながら車の鍵をかける。
「いえ、そんな…」
智樹は謙遜した風だったが、心の中では
俺の場合は『礼儀正しい』というより、『計算高い』の方が似合ってる。
自分の事を卑下していた。
ともだちにシェアしよう!