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第44話 夜景 ②
「星って結構たくさん見えるんですね。俺、最近空、見上げた記憶ないです」
夜空だけでなく、昼間の空も、晴れたら日も、雨の日も、風の日も、陽炎ができそうなぐらい暑い日も、珍しく雪が降った日も、智樹は空なんて見ていなかった事を思い出した。
下ばっかり見てたな。
北極星ってどこにあるんだろう?
一等星だったかな?
いや、確か北極星は見つけやすいけど、二等星だったような気がする。
その前に北ってどっちだ?
智樹が北極星を探していると、
「わ‼︎」
夢中で空を見上げていた為、自分の体が反り返りすぎているのに気が付かず、もう少しで後ろに倒れそうになったところを、早見に受け止めてもらっていた。
「す、すみません…」
智樹は早見に受け止められながら謝まる。
「そんなに夢中になって、何探してたの?」
「北極星です。あの、北ってどっちですか?」
「向こうだけど…、智樹君、一度ちゃんと立ちあがろうか…」
「‼︎‼︎すみません‼︎」
慌てて智樹は再び早見に謝り、きちんと自分の力で立ち上がった。
それもそのはず。
智樹は早見に受け止められたままの体制で、早見に話しかけていたからだ。
「智樹君って、小さい時から集中すると周り、見えなくなってるよね」
クスリと早見が笑う。
「そうですか?全然気が付かなかった」
恥ずかしさで智樹は照れた。
この照れは、計算されたものではない。
「北はあっちだから、北極星はあれかな?」
早見が指差す方に一際目立つ星があった。
「綺麗…ですね…」
その輝きに智樹はうっとりする。
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