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第47話 日の出 ②
「日の出まで時間あるから、後部座席で少し寝る?」
「え⁉︎いいんですか⁉︎」
早見の提案に、智樹の顔からは笑みが溢れた。
「時間になったら起こしてあげるよ」
そういうと、早見は車の鍵をピッと開ける。
「どうぞ」
後部座席のドアを早見が開けると、
「早見さんも…一緒に後ろの席、乗ってくれますか?」
「え?」
智樹が俯き加減に聞き、早見は驚く。
「1人で後部座席にいるの、嫌なんです…」
悲しそうに智樹が俯く。
「……。仕方ないな。今日だけな…」
最初に早見が後部座席に乗り込むと、嬉しそうに智樹も乗り込み、早見の膝の上に頭を乗せた。
「少しだけ……。ね。膝枕《ここ》いいですか?」
目を瞑りながら智樹が言うと、
「今日だけ…な…」
「ありがとうございます」
早見がそっと智樹の頭を撫でると、すぐに智樹からスースーと寝息が聞こえてくる。
「全く…人の気も知らないで…」
安心しきった顔で眠る智樹のサイドの髪を早見は少しすくい、耳にかける。
そして自分は窓の外を、じっと見つめていた。
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