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第49話 ありがとうございました
「ありがとうございました。早見さんが迎えに来てくれて、ファミレスで楽しく食事して、夜景も日の出の美しさも、早見さんが教えてくれました」
家の近くまでやってきた車の中で、智樹は早見に礼を言った。
「気分転換になった?」
早見も晴々とした智樹の顔を見て、嬉しそうだ。
「はい、とっても」
智樹は笑う。
久々に何も考えずに。
「じゃあ、数時間後、また迎えに来るよ」
智樹が学校に行くため、早見は毎日迎えにくる。
だが今日は
「今日は学校休みます」
智樹が悪戯っぽく笑いながら、舌を出した。
「どこかしんどい?」
早見が智樹の顔を覗き込むと、
「いえ。ただ単に眠いだけです」
智樹はえへへと笑った。
「それに今、せっかく心洗われたのに、今日も人間観察して、顔色伺うの嫌なんです。たまには誰の顔色も窺わなくて、ボーッとしたいんです」
智樹がそういうと
「そういう時もあるよ…。じゃあ俺は雅樹くん学校に送って自宅に着いたら目覚まし止めて寝るよ。あ〜、智樹君からだけ繋がるスマホが欲しい…」
早見は自分のスマホを恨めしそうに見つめた。
「キッズ携帯、決まった相手しか繋がらないっていいますから、2人でそれにします?」
「それ、いいかもね」
現実にはできない事を2人で話し笑い合うと、智樹は家族に見つからないように家へ入って行った。
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