「俺いないけど、お前、母さんと家にいたら？母さんいるから、何かあったら伝えたらいいし…」 男子生徒は当たり前のように、智樹に伝える。 え？ 意味わかんない。 見ず知らずの転入生の家で、そいつが帰ってくるまで俺はおばさんと2人きり？ 「な、だからおれん家で、スマホ充電しながら待ってろよ」 今日初めて男子生徒が微笑む。 「もし俺が悪いやつだったらどうすんだよ？」 「悪いやつは、自己申告しない」 「じぁさ……」 智樹が質問を続けようとした時、 「で？お前はおれん家来るの？来ないの？」 唐突に聞かれる。 え？それはもちろん… 「行かせてください」 智樹が頭を下げると、 「はじめから、そう言えばいいのに」 男子生徒は智樹に太陽のような笑顔を向けた。