58 / 87

第59話 環の母 ②

「さっきそこの路地裏で拾った」 環が答えた。 路地裏で拾った? 俺は捨てられてた動物と一緒なのか? 「なっ…‼︎」 智樹が反撃し始めた、その時、 「まぁ、拾ったの?」 呑気に環の母は、環の言葉を反復する。 「ちがっ…違います!捨てられてませんし、環くんに拾われてもいません!」 慌てて智樹は|環と母《ふたり》に訂正した。 「そうなの?じゃあ、お友達ね。よかったらどうぞ」 環の母は玄関に環の分のスリッパと、智樹の分のスリッパを出す。 「ありがとう母さん。でも俺、もう学校行かないと本気で遅刻するから行く。じゃ、そういう事だから、えーっと…名前は…」 「智樹」 「そうそう智樹。ゆっくりしててくれ。授業終わったら、すぐ帰ってくるから」 そういうと、環はダッシュで家を出た。 え? え? え⁉︎ どういう事? 環の母と智樹2人残された玄関で、智樹は今、起こった事を必死になって考えたが、一向に答えが思いつかない。 「えーっと…」 何か話さないとと、智樹が環の母に話しかけると、 「玄関で立ち話もなんだから、入って。丁度お茶しようと思ってたから、一緒にお茶でもいかが?」 智樹にニコッと微笑みかけた。 いいのか? このままお邪魔して… しかも知らない人の家だぞ。 智樹の足が止まる。 「あ、そうだ」 環の母が手をパチンと叩く。 「私の事は『美奈』って呼んでね。おばさんって呼ばれたら、誰のおばさんなのか、わからなくて」 そう言った美奈にまた、『どうぞ、入って』と勧められたので、智樹は『はい…』と生返事をして、部屋の中に入って行った。

ともだちにシェアしよう!