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第69話 雅樹に返信
「俺、やっぱり雅樹に連絡するよ!」
しばらくスマホと睨めっこをしていた智樹が、意を決したように宣言する。
「でも、電話は緊張するからメールにする」
「いいんじゃねー?」
軽い口調で環が答える。
「え?軽くない?」
もっと力強く応援してくれると思っていた智樹は、少し肩透かしを食う。
「こういうのは気負うとダメなんだ。だから適当ぐらいがちょうどいい」
美奈が環の部屋に持ってきたクッキーを環は食べた。
「それ、何情報?」
智樹は情報源に不安を感じる。
「え?俺情報」
「それ当たる〜?」
「わかんないけど、当たりそう」
「環、軽すぎ」
智樹の頬が緩むと、
「その調子でメール打っちゃいなよ」
環は智樹の口にクッキーを入れた。
このクッキー美味しい。
クッキーに気を取られ、智樹の緊張はほぐれていく。
よし‼︎
智樹はスマホを持ち直す。
『雅樹、スマホの電池きれてて、電話出れなくてごめん。今日、友達ん家 にいたから大丈夫。もう少ししたら帰る』
本当は『メール怖すぎた』とか、『帰ったら雅樹の言い分聞く』とか書きたかったが、またギクシャクしそうなのでやめておいた。
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