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第70話 早見に返信 ①
そして心配しているであろう早見にも、
『スマホの電池が切れていて、連絡つかずごめんなさい。今日は友達の家にいて、もうすぐ帰ります』
と打った。
するとすぐに早見から電話が入る。
「智樹君、本当に大丈夫⁉︎」
今まで走り回り、智樹の事を探していたのだろうか?
早見の呼吸が乱れていた。
「大丈夫です。心配かけて、本当にごめんなさい…」
「本当に大丈夫?大丈夫って誰かに言わされてない?」
早見はまだ心配している。
「言わされてないです。本当に大丈夫で、本当に心配かけてすみません…」
早見の心配した顔が目に浮かぶと、智樹は申し訳なさでいっぱいになった。
「智樹君が無事なら、それでいい」
早見は怒らず、ただただ安心した声だ。
「もう暗いから迎えに行くよ。場所わかったらメールして」
1人で帰るものだと思っていた智樹は、少し口籠る。
「まだ明るいので、1人で帰れます」
そう智樹が言うと、急に環が紙に何か書き始め、電話中の智樹に見せた。
そこには
『俺が家まで送る』
とあった。
環に送ってもらう?
そんなの悪い。
智樹が首を横に振ると、また環がペンを持ち、
『明日迎えに行く時のためにも、智樹ん家の場所覚えたいし』
とあり…
でも智樹はまた首を横に振る。
すると、環は言いたいことが智樹に伝わらず、『う"ー』と頭を抱え、智樹からスマホを取り上げた。
「送るって言ったら送る‼︎」
電話口の早見聞こえないようにか、環の声は小声。
「いいよ。環に送ってもらうなら、早見さん車だから、早見さんに送ってもらうよ」
智樹も小声で言うと、環は余計に頭を抱え、
「だったら、絶対俺が送る‼︎」
今の環は、だだをこねる子供のようだ。
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