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第86話 入浴 ①
「美味しい‼︎」
言葉の語尾にハートマークが飛んでいるように話す智樹は、エビフライを頬張りながら母親の方を見る。
「智樹の食べっぷりは、本当に作り甲斐があるわ。どんどん食べてね」
母親は智樹の皿にエビフライの追加をのせた。
そんな智樹とは対照的に、雅樹の箸は止まったまま。
「雅樹、たべないのか?」
智樹が雅樹の顔を覗き込むと、
「おいしそうなんだけど、今、油物はちょっと…」
雅樹は申し訳なさそうに言葉を濁した。
「雅樹はそうかな〜って思ったから、ハイ、これどうぞ」
雅樹の目の前に、粥が出された。
「中華粥よ。これで胃を落ち着かせて、明日はモリモリ食べなさい」
粥を目の前に、嬉しそうに微笑む雅樹のことも母親は優しい笑顔で包み込んだ。
食後、湯船の用意をしている間、ソファーに座った智樹の隣に雅樹が座ると、智樹と自分の手を恋人繋ぎにし、智樹の肩の上に頭を乗せた。
「風呂の用意ができたら起こすから、それまで寝たら?」
「…絶対…、起こす…か…?」
もう雅樹の瞼は閉じられ、睡魔と戦っている。
「起こす。だから少し寝なよ」
智樹が雅樹の頭を撫でると、
「絶対…だか……」
そこまで言うと、話してる最中なのに雅樹は眠ってしまった。
どんなにイケメンになっても、寝顔はいつまでたっても小さい時のままだ。
この寝顔を独り占めできるのは、俺だけ。
智樹は雅樹の寝顔を見続けていると、
「お風呂入ったわよ」
と、母親の声。
「入るよ」
智樹は雅樹を起こすまいと小声ではなしたが、
これから雅樹を起こすのに…。
と思うとクスリと笑ってしまった。
とりあえず、先に雅樹が風呂に入ってから、次、俺が入ろうかな?
「雅樹、風呂沸いたって。先入りなよ」
いつもは少々の事では起きない雅樹だが、この日は智樹が少し声をかけただけで、目を覚ます。
「…俺が入っている間に智樹がいなくなるかも知れないから、嫌だ」
雅樹が智樹の手をギュッと握る。
「いなくならないって…」
智樹が宥めるが、雅樹は
「嫌だ…」
の一点張り。
雅樹、一度言い出したら聞かないから、こうなると、もう俺の言うことも聞かなか…。
雅樹、体ばっかり大きくなったのに、言うことはまだまだ甘えただな。
「じゃあ、一緒に入る?」
「!!……、そんなの…恥ずかしいじゃん」
智樹の提案に雅樹は目を丸くし、顔を真っ赤にする。
おいおい…
俺たち、それ以上の事してるんだけど?
「昔は一緒に入っただろ?」
「それとこれとは…」
雅樹が口籠ると、智樹は周りに母親がいない事を確認し、
「セッ○スの後、いつも一緒に入ってるだろ?」
小声で雅樹に耳打ちした。
「!!」
智樹の発言を誰にも聞かれていないか、雅樹は辺りを見回し確認する。
「それと、これは違うって」
今度は雅樹が智樹に耳打ちをした。
「一緒だって」
「違うって…」
このやりとりを2人、何度か繰り返していると、
「も〜、せっかくお風呂広いんだから、2人で入ってらっしゃい」
母親の一声で、2人一緒に入ることになった。
「今日は俺が洗ってやるよ」
いつもセッ○スの後、智樹は雅樹に体を洗ってもらっているが、今日は智樹が言う。
「え?いいよ…。自分で洗える」
ここでもやはり雅樹は恥ずかしそうにする。
「たまには俺が洗いたい」
「いいって…」
雅樹が断る。
仕方ないな〜。
いつまで経っても《《らち》》が明かないので、
「俺が雅樹の体、触りたい」
そう言いながら、智樹は後ろから雅樹の背中にピタリと身体をくっつけ、ボディーソープの泡を掌に乗せると、背後から雅樹の楔の周りを撫でる。
「っつ…」
智樹に触られ、すぐさま雅樹の楔は大きく硬くなった。
「ダメだって…。今、母さん…いる」
楔を擦られ続けている雅樹が、智樹からの刺激で顔を顰める。
「俺は雅樹に触れたいんだ…」
智樹は手を止めない。
「だからって、、触んなよ…」
「どうして?こんなに硬くなってるのに?苦しいんじゃないか?」
智樹は雅樹の楔だけでなく、自分の身体、全身を雅樹に擦り付ける。
「そんなことしたら…智樹の中に…挿れたくなんだろ…」
「!!」
いつもは強気な雅樹が、智樹に触れられ弱気な発言をし、智樹はその言葉にキュンとする。
エロい事してる時、雅樹はいつも俺を追い込むような言葉を言うのに、今日は可愛い事言うんだ…
智樹は雅樹の楔を擦るのをやめると、今度は雅樹の前に行き、背中をピタッっと雅樹の分厚いつ胸や、引き締まった腹にくっつけ、
「!!」
驚く雅樹の硬くなった楔を太ももで挟み込み腰を振り、雅樹の楔と自分の楔の裏側と睾丸を擦り合わせる。
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