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第12話 目覚め ②
神谷が目覚めた。
病院からの知らせを聞いて、着替えをとりに家に帰っていた神谷の母親が急いで神谷の元にかえってきて……
目覚めた息子に抱きつき、泣いて喜んだ時……
「母さん、どうしたんだよ…」
そして晶を見て、こう続けた。
「君……誰?」
神谷の言葉に、部屋にいた人達が凍りついた。
先輩は『解離性健忘症』だそうだ。
簡単に言えば、記憶があるところと、ないところがある。
先輩の場合、まだはっきりしていないが、日常生活に支障が出るほどではないそうだ。
ただ、確実なのは『俺と薫』の事は、ごっそり抜けていた。
俺のことは仕方ない。
でも恋人の…
薫のことは忘れるなんて、先輩らしくない。
先輩らしい?
そんなの俺が勝手に決めたことかもしれないけど、俺のことはともかく、2人の様子を一番側で見ていた俺には先輩が薫のことを忘れるなんて考えられない。
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