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第16話 ノート
「松原ーーー‼︎」
学校から帰ろうとしていた晶に、グラウンドで部活をしていたサッカーの部長、川口が声を掛け、晶はそばまで駆け寄る。
「松原、今日も行くのか?」
「はい」
「じゃあさ、これ神谷に渡してくれないか?」
晶は川口に数冊のノートを手渡された。
「あいつ、今日退院だろ?明日から登校するらしくてさ、でも、明日小テストがあってさ、その勉強したいからノート貸してくれってメールがあって」
「…」
「俺ら今日の部活も遅くて、あいつの退院に間に合わないから、それ届けて欲しくてさ」
晶はノートに目を落とす。
こんな時まで、本当、まじめ。
「わかりました。きちんと渡しておきます」
晶が頷くと、
「ありがとう。でも、あんまり無理すんなよ」
川口は晶の髪をぐしゃぐしゃと撫でた。
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