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第18話 嘘 ②

「松原くん、今日もありがとう」 神谷の母親が晶に礼を言うと、 「いえ、俺の方こそ忙しい時にお邪魔して、すみません」 晶は神谷の母に微笑んだ。 「本当に松原くんは、いい子ね」 「いえ、そんな……。では俺はここで失礼します」 晶は丁寧にお辞儀をし、神谷の母親と神谷に背を向けて歩き出した。 晶はあの後『こんなこと言える立場じゃないけれど…』と言ったあと、 神谷に一つお願いをした。 『俺と付き合ってるのは、誰にも言わないでください…』 神谷は『どうして?』と聞いたが、晶は答えなかった。 神谷先輩と付き合ってるって他の人に言ってしまったら、それを薫に聞かれているような気がして… 本当に付き合っていた薫は俺にさえ言ってなかったのに、嘘の恋人の俺は言えるはずがない。 本当は本当は、 なりたくて、なりたくて、なりたかった 神谷先輩の恋人。 俺は今、その恋人になった。 偽物の恋人に……… 神谷先輩が薫に告白してる所を見てしまった時、 本当は俺は大失恋してたんだ。 だけど、全然苦しくなかった。 でも今は、 喉に 胸に 何かが詰まったような… そんな感じがして… 辛いんだ……。 晶は日課になっている薫の墓参りに行こうと、電車に乗ろうとしたが、その日は電車には乗れなかった。 一体どんな顔して、薫に会いに行けばいいんだよ……………。

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