19 / 68

第19話 川口 

その日の晩。 神谷から『あれから、色々考えたんだ』と、電話があった。 その神谷から一つお願いをされた。 『松原と付き合ってることは誰にも言わない、そのかわり、今までと同じように接してほしい』 今度は晶が『どうしてですか?』と聞き返すと、 『急に態度変えたら、周りからおかしくみられるし…、それに何か思い出しそうだから』と言われ… そう言われてしまうと断りづらく…………… 晶は神谷との約束通り、以前と同じようサッカー部の練習を、以前と同じ場所に座っていると、 「病み上がりの神谷が部活に出たいって言ったの、松原が見に来てくれるからか〜。…はい、これ、あげる」 部活の休憩時間にサッカー部部長の川口が晶にペットボトルに入ったスポーツドリンクを手渡し、晶の隣に座った。 「あ、ありがとうございます」 晶は受け取るも、飲まずに手に持ったままだ。 「…で、大丈夫なのか?」 川口は晶の顔を覗き込む。 大丈夫って……なにが? もしかして、神谷先輩のこと? 「先輩なら、先輩自身が大丈夫って言われてましたよ。俺も詳しいことはわからないので、はっきり言えませんが…」 川口先輩もそんなに心配なら、直接本人に聞けばいいのに… 「神谷のことじゃねーよ。松原、お前のことだよ」 「え?俺…ですか…?」 「そ、お前。前と全然かわんねーから、心配になってさ」 前と変わらなくて、心配になる? 「お前、…無理してるだろ。いろんなこと…」 「‼︎…そんなこと…」 晶が言いかけた時、 「それにさ、神谷になんて頼まれたかしらないけど、無理して見学しに来なくていいって」 川口が晶の頭をポンポンと叩く。 「俺はさ、気の利いた事言えないから、うまく松原に伝わるかわかんねーけど…、つらいだろ?長谷部のいないココは…」 ‼︎‼︎ 「俺からあいつには言っておくからさ、松原が帰りたかったら帰っていいぞ……って……」 「大丈夫です……。泣いてませんから……」 くそっ… 涙我慢してるのに、どんどん溢れてくる…… 泣くな、俺‼︎ 泣くなって‼︎ 晶は制服の袖で目を擦る。 「これ貸してやるから」 川口は晶に鍵を渡す。 これって… 「部室の鍵…ですよね」 「そ。そこで思いっきり泣いてから帰りなよ。落ち着いたら、また鍵閉めて誰かに渡してくれてたらいいし。だから今日はもう帰りな」 悔しいけど、 いま、俺涙が止まらなくて… 原因は… いろいろありすぎて、わからないけど、 このまま、ここにいても涙止まりそうにないから…

ともだちにシェアしよう!