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第26話 デート ③
で、なんでホラーなんだ……
「先輩…、ホラー、俺苦手なんですけど……」
晶は神谷に言おうか言わまいか迷ったが、やはり言うことにした。
だって、俺、本当にホラー苦手‼︎
洋物、和物、全て‼︎
脳みそブシャーって出てきたり、高速で追いかけてきたり、後ろから急に出てきたり……
怖いじゃん‼︎
心臓に悪いよ……
「知らないよ。だって記憶無くなる前に買ってたし…。でも、ごめん…」
神谷は申し訳なさそうだ。
やっぱり言うんじゃなかったかな…
でも、どうしてこれチョイス?
「あ……」
晶はある事を思い出した。
あれはいつだったか、先輩に
『松原、いつもどんな映画見てる?』って聞かれたとき、
薫は見かけによらずグロいホラーが好きで、俺は薫に付き合わされてたから、
『薫と家でネット配信の、グロいホラー観てます』っていったっけ…
それでか………
「映画の件は、俺が悪かったです…。先輩はホラー大丈夫ですか?」
「大丈夫だと思う。もしかしたら、忘れてるかもだけどな」
しまった‼︎
先輩が記憶ないこと気にしてるのに、変な質問してしまった…
「あの、その…、えーっと……」
晶が慌ててると、
「そんなに焦るなって。俺、松原と記憶探していくの楽しいから、全然気にしてないよ」
晶の頭をポンポンと優しく叩く。
そして、
「さ、入るか」
晶の前を歩いて行き、その後を晶が追いかけて行った。
先輩の後ろ姿見慣れてるはずなのに、胸がキュンとする。
それに頭に心臓ないのに、先輩に触られたところ、ドキドキして脈打ってる感じがする。
晶は、神谷に叩かれたところが熱くなっていくのを感じた。
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