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第28話 映画館 ②

「…先輩。もう、絶対ホラーはやめてください……」 映画を見終わった晶は、映画を観る前と観終わった後では、顔の疲れ具合が全然違う。 ゾンビだった… 記憶に残ってるのは……、 ゾンビ出た、 追いかけてきた、 どんどん現れる、 主人公、みんなと力を合わせゾンビに爆弾投げて燃やす… 以上。 ただただ怖かっただけ。 映画館だら逃げ場がなかったから… 「え?俺次もホラーがいい」 !!!! 今なんて言いました⁉︎ 「俺があんなに怖がってたのに『次もホラーがいい』なんて、よく言えますね」 晶は信じられないと神谷を見る。 「だって松原、怖がったら俺に抱きついてくれるじゃん」 晶とは対照的に神谷は嬉しそうだ。 ‼︎‼︎ 俺、先輩に抱きついていたのか⁉︎ 「……。気がついてなかったとはいえ、すみません…」 ペコリと晶は頭を下げる。 「俺としては『ありがとうございました』だから、全然いいよ。なんならもう一回観……」 「観ません。絶対」 「残念…」 少ししょんぼりした神谷の顔を見ると、 もう一回ぐらいだったら、観てあげてもいいかな? と、晶は思ってしまった。

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