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第34話 体調不良 ②
タクシー内での神谷はぐったりし、ずっと晶の肩に頭をもたれさせていた。
「先輩着きましたよ」
「…」
タクシーから降り、玄関前までついたが神谷からの返事はなく、チャイムを押したが中からの返答はない。
おばさん出掛けているのかな?
「鍵、勝手に開けますよ」
晶は神谷の鞄から鍵を取り出すと開けた。
「お邪魔します」
晶が声をかけたが、家の中は静まりかえっていて、人の気配はない。
やっぱり出かけてるか…
ダイニングの前を通り過ぎ、神谷を担ぎながら晶は階段を登る。
先輩を落とすわけにはいかない…
頑張れ俺‼︎
最後の力を振り絞り、晶は神谷をベットに寝かせると布団を掛けると、神谷もベットが心地よかったのかスヤスヤと寝息をたて始めた。
だから『帰りましょ』って言ったんだよ。
寝息をたてる神谷の頬にそっと触れると、晶は嬉しくなる。
今の無防備な先輩を見れるのは俺だけ。
先輩体調悪いのに、少し嬉しくなってしまうのは不謹慎だな。
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