33 / 68

第36話 触れたくて、触れていて ②

晶は神谷の瞳を見つめ、 「先輩、俺だけ見て…」 腕を伸ばし神谷の頬を両手で包む。 「松原……」 神谷は寂しげに揺れる晶の瞳を見て、眉をひそめ苦しそうな悲しそうな表情となった。 「松原、何を隠してる?」 「今は先輩に触れられたい。ただそれだけです…」 晶の瞳から涙が伝う。 一度だけでいい。 一度だけ。 だから… 「先輩、キスより先、してくれませんか?」 しっとりと濡れたような瞳で、晶は神谷を誘った。 「いい……のか?」 晶のその表情に身震いした神谷が聞く。 「教えてほしいんです。先輩に…。俺の初めて、全部…、先輩で塗りつぶして欲しいんです」 全部、全部、先輩の出埋め尽くして、 俺の記憶、先輩でいっぱいにしたい。 先輩が欲しい。 先輩が欲しい… そのゴツゴツした手も、 それに似つかわしくない長い指も、 少し硬い髪も、逞しい腕も 広い背中も、 優しい瞳も… 全部、俺だけ向いてて欲しい。 欲張りだと分かってます。 いやってほど。 十二分《じゅうにぶん》に… 先輩が全て曝《さら》け出していたのは、薫だけだってことも。 その優しい瞳で、愛おしそうに見つめていたのは、薫だけだってことも。 分かってます、先輩。 いつかその事を思い出す日が来るのでしょうか? 全て思い出して欲しい、、 思い出して欲しくない。 俺はわがままで卑怯です。 晶は神谷の瞳を見つめながらTシャツを脱ぎ、神田のに手を取り、あるところを触らせる。 「‼︎‼︎」 「先輩、今、誰も触ったことのない俺の乳首《ここ》触れてみてどうですか?」 神谷は晶から目が離せなくなり、 「おかしくなりそうだ」 生唾を飲む。  それを聞くと晶は嬉しそうに微笑み、神谷の首に腕を回して抱きつくと、 「おかしくなって、先輩。…俺が何も考えられなくなるぐらい、抱いてくれませんか?」 耳元で囁いた。

ともだちにシェアしよう!