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第55話 待ち伏せ ①

翌日。 晶が学校に行こうと、マンションから出ると、 「先輩⁉︎」 神谷がマンション前で晶のことを待っていて、晶の顔を見るなり大股で近づいて来た。 「なんで昨日、メールの返信も、俺からの電話も出ないんだよ」 神谷は明らかに怒っている。 「昨日は…すぐに寝てしまって……」 「じゃあなんで既読スルー?」 「それは、多分先輩のところ開けたまま寝てしまってたからだと……」 本当に苦しい、嘘がバレバレな言い訳。 でも、本当に何て言えばいいかわからなかったから…… 「…わかったよ…。顔色はもどったみたいだけど、体調は良くなった?」 神谷は納得していないようだが、その話は続けないでいてくれ、晶はほっとした。 「はい…」 「ならよかった……。なぁ晶…」 神谷が真剣な顔で晶を見る。 もしかして、昨日よりも色々思い出した? 嘘がバレた? 晶の中の不安が募る。 「俺、晶のこと…何があっても…信じてるから、隠し事はしないで欲しい…」 「‼︎」 !!!! 『何があっても…信じてるから、隠し事はしないで欲しい…』 それって… その言い方って、 思い出したんですね、先輩。 何もかも…… 思い出したから、 俺の嘘に気がついたから、 何があっても信じるなんて言ったんですね。 本当は『信じられない』の間違いじゃないですか? この日が来てしまった。 俺、本当に薫の事、思い出して欲しかったんです。 でも、俺の嘘には気づいて欲しくなかった… 最低ですよね…… 晶の目から涙が出そうになる。

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